【特集】きっかけは1本のSNS動画「自分がこの子を助けたい」一人の中学生から始まった、トルコ・シリア地震の支援活動 悪戦苦闘の10か月…段ボール箱に詰めた物資と想い
2023年2月に起きたトルコ・シリア地震。被災した子どもたちへの支援活動団体「MPS(Make People Smile)」を結成したのは、一人の中学生。「子どもだからこそできる子どもへの支援」をテーマに生徒主体で活動を始めた「MPS」ですが、学業との両立や大人との向き合い方など、何度も壁にぶつかりました。少女たちの想いは無事シリアへ届くのか―活動の日々を追いました。
更衣室いっぱいに山積みにされた段ボール箱。ここが、支援活動の拠点です。
(森孟子さん)
「寄付していただいた物資で、文房具だったり玩具だったり衣類だったりを集めて、ここで管理しています」
発起人は、中学3年の森孟子(もり・もね)さん。2023年2月に起きたトルコ・シリア地震が、支援活動に乗り出すきっかけとなりました。5万人以上の人が亡くなるなど、日本でも連日、現地での悲惨な状況が伝えられ、SNSで見た1本の動画が孟子さんの心を動かしました。
(孟子さん)
「『召し使いになってもいいから』というふうに言っているのが、やはり自分たちとは違う状況にあるのだとよく分かったきっかけで、それがスマホの中、手の中で起きていることで、すごく近いことのように感じたので、自分たちがこの子たちを助けたいと思って」
被災地の支援を決意し、次の日には活動の計画書を作り、通称「MPS」という団体を結成しました。
(孟子さん)
「最初は、支援はお金でも良いかなと考えていたんですけど、お金だと困っている大人から順番に回っていくのではないかと。最初にきっかけをくれた子どもに届けたいというのがメインだったので、だったら物という形のほうが、ちゃんと届くのではないのかなと考えました」
活動は、“生徒主体”。物資の購入費のため募金を始め、企業に寄付を募るメールも自分たちだけで送りました。ところが…。
(中学3年・柴田芽依さん)
「私たちは普通の中学生なので、中学生が物資を欲しいと言ったら、本当に大丈夫なのかなと、『支援はできない』とお返事いただいたり…」
支援物資は、簡単には集まりませんでした。しかし、何度も何度も文面を考え直し、20を超える企業や団体から協力を取り付けました。
しかし、何とか物資を集め、後は発送するだけという段階になって、思いもよらない問題が―。
(孟子さん)
「衣類系と生理用品の特殊な素材の名前とかは調べないといけなくて。これがないと送れないんです」
海外へ荷物を送るための税関審査で、物資一つひとつの細かな情報を記録した書類が必要なことが判明したのです。一つずつ確認して書類を作りましたが、不備があり何度も突き返され、数か月が経過。もどかしさが募りましたが、被災地の子どもたちの笑顔を思い浮かべ、メンバー全員が前を向きました。
(孟子さん)
「ちょっと大変ですけど、それでも届けたいと思うので、何回でもやり直して、届けようと思っています」
活動を始めて、約10か月。ついに、発送の日を迎えました。『国境や文化を超えて子どもを笑顔にする』という願いを込めた414箱分の支援物資を、仲間みんなでトラックに積んでいきます。
(孟子さん)
「2月から、いろいろやらかしたり、みんなに迷惑をかけたりしながらも、たくさん助けてもらって、本当に感謝しています。ありがとうございました」
(トラックの運転手)
「無事に届けますので」
(生徒たち)
「よろしくお願いします。ありがとうございました」
SNSの動画をきっかけに始まったプロジェクト。「MPS」のメンバーは、これからも支援活動を続けていきます。
(「かんさい情報ネットten.」2023年12月27日放送)