【特集】国内の患者数わずか100人…どんな症状が出るかわからない難病・クリーフストラ症候群 「安全上の理由」と入園も一時見送りに…知られていない故の困難と闘う親子
国内での患者数わずか100人ほどという難病・クリーフストラ症候群は、遺伝子の欠損や変異によって起こる病気で、どんな症状が出るかは患者によってさまざまです。症例数が少ないため、治療法はわからず。知られていないからこその困難に向き合う親子の姿を追いました。
「すごく稀な病気ですと言われ、目の前が真っ暗に」月1で6つの診療科へ通う親子の苦悩
兵庫県に住む千田泰輔くん(1)。生まれつき、ある病気と闘っています。お母さんは、我が子の様子に違和感を覚えていました。
(泰輔くんの母・貴愛さん)
「いつまでも“ずりばい”もしないし、もちろんハイハイもしないし。1歳5か月なんですけど、生後7か月ぐらいの発達状況であると、このあいだ言われました」
『クリーフストラ症候群』。国内の患者はわずか100人程といわれ、9番染色体の欠損や突然変異によって起こる病気です。知的障害や視覚障害など、どんな症状が出るかは患者によってそれぞれ。泰輔くんは、生まれつき両足が内側に向く内反足と、両耳に難聴の症状があり、生後4か月で手術も経験しました。
泰輔くんの小さな両足には、矯正のため500グラムほどの重さの器具が付けられています。
(貴愛さん)
「夜間は、ずっと(矯正器具を)つけています。大人になって成長していっても、若干の痛みが残ったりとかはあるみたいで…」
月に1回の通院は、欠かせません。症例数が少ないため治療法はわかっておらず、整形外科や耳鼻科など、6つの診療科での診察が必要です。
診断されたのは、生後10か月のときでした。
(貴愛さん)
「お医者さんから、『すごく稀な病気です』と言われて、目の前が真っ暗に」
診断後、待ち受けていたのは、知られていない病気だからこその生きづらさでした。泰輔くんを預ける予定だった保育園からは、「安全上の理由で受け入れられない」と連絡が…。
(貴愛さん)
「今のままだと、将来大きくなったときに、私たちにいつ何があるかわからないので、両親がいなくなったとしても、助けてくれる社会があってほしいなと思って」
病気が繋ぐ“家族の輪”「会話できるだけで嬉しい」 病気と診断された人たちが困らない未来を…
生きやすい未来になるように、社会に少しでも病気を知ってほしい―。
そんなときSNSを通じて出会ったのが、同じ病気と闘う家族でした。初めて家族会を開き、症状は違えど、同じ病気と向き合う親子と悩みを共有しました。
(参加した男の子)
「土曜日、何してるの?」
(参加した女の子)
「ゲームしてる」
(参加したお母さん)
「こうやって会話できるっていうのも、私たちからしたら嬉しいんです」
「今までネットで調べても出てこないような病気だったので、こんなに同じ病気の子がいることも最近わかったので、こうやってみんなで集まって遊べて、嬉しいです」
(貴愛さん)
「やっぱり、知ってもらうだけで、聞いたことあるってなるだけでも、助けてもらえる場面もいろいろ増えてくると思うんです。もし今後、クリーフストラ症候群と診断される人たちが、困らないようになればいいなと思います」
病気の存在を、一人でも多くの人に。まだ見ぬ患者にも手を差し伸べることができる社会を願っています。
(「かんさい情報ネットten.」2023年12月1日放送)