【物議】公衆トイレの建設費“1億円”に地元住民は賛否両論「人の金やから出来るんやろな。信じられへん」「快適で利用しやすい場所なら、それでいいんじゃないか」 いったいナゼここまで高額になったのか―?
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奈良・御杖村(みつえむら)で今、村民たちが問題視しているのが、2024年2月に完成した『公衆トイレ』です。観光客への村のPRも兼ねたトイレだといいますが、その建設費が“1億円”ということもあり、村民たちからは賛否両論。いったいナゼここまで高額になったのか―?
■「信じられへん」「コンビニとか、あまりないので助かる」奈良・御杖村にできた“1億円”の公衆トイレに賛否両論
三重県との県境に位置する奈良・御杖村。人口は約1300人で、雄大な山々に囲まれ、四季折々の自然を満喫できるのが魅力の村です。
そんなのどかな村で今、村民たちが問題視しているのが、“公衆トイレ”です。2024年2月に完成した公衆トイレは、村の西側の入り口に設置され、奈良市から三重・松阪市へと通じる国道369号に面しています。
建物には、奈良県産のヒノキがふんだんに使われており、トイレはバリアフリー対応で男女の個室がそれぞれ1つずつあります。
この公衆トイレは観光客へのPRも兼ねていて、建物には御杖村を紹介する掲示板や今後開催される地元のイベントを紹介するパンフレットなどを置いているスペースもあります。
そして、この建設にかかった費用は、なんと約1億円です。
(兵庫・尼崎市民)
「立派ですよね。ええもん見させてもらいました」
(兵庫・尼崎市民)
「すごいなーと思って、ありがたく使わせてもらいました」
(トイレの利用者)
「コンビニとか、あまりないので、そういった意味では助かるかなと」
村を訪れた人からは、肯定的な声が聞かれた一方で…。
(トイレの利用者)
「普通の感じのトイレにしか見えないです。便器が金色だったら『あぁ』とか思いますけど」
(御杖村の住民〉
「高いですよね。若者が減っているんで、若者が来られるようなところにしてほしい」
(御杖村出身者)
「高くても半分でできるやろ。人の金やからできるんやろな。信じられへんわホンマに」
村民からは問題視する声も上がっています。
■建設費の一部は村の負担「もっと他に使うところがあるんじゃないか」 気になる “1億円”公衆トイレの内訳は―?
そして、気になる1億円という建設費用の内訳ですが…。
・木造の建物、約1570万円
・トイレや浄化槽など、約1000万円
・大型車両対応のアスファルト舗装や排水工事など、約1580万円
・用地取得費、約720万円
・設計費、約700万円
・工事管理費、約310万円
その他、用地取得費や設計費など合わせて約9500万円となっています。このトイレの建物だけで1億円がかかったわけではなく、少なくとも6台以上は入る駐車場や、向かいの川を望めるベンチ、さらには土地代や設計費用など全て込みで、約1億円までに膨れ上がったということです。
公衆トイレの建設費に“1億円”もかかった理由について、御杖村の伊藤収宜村長は「近年の人件費、物価・資材の高騰もあります。工事費の積算単価に関しては、国・県の基準に基づいて設置しており、妥当であると考えています」と話しています。
この場所にトイレが作られた理由は、奈良県と三重県の伊勢神宮を結ぶ伊勢本街道沿いであり観光客がよく利用する道であるため、パンフレットなどを置いて村のPRをする狙いがあるといいます。
建設費用の1億円は10年かけて返済する『過疎債』で、7割が国の地方交付税での負担で、3割は村の負担になるとのことです。これに対し、地元住民からは「御杖村のために、もっと他に使うところがあるんじゃないか」という声もある一方で、「御杖村を訪れる人にとって快適で利用しやすい場所なら、それでいいんじゃないか」という声もあり、まさに賛否両論だといいます。
2023年の村議会で、この1億円トイレの設置が議題に上がり、全会一致で可決しました。しかし村内には、14年前に建てられた約2000万円の公衆トイレなどもあるといいます。果たして、この“1億円トイレ”の建設費は妥当なのか?そして、御杖村のPRにつながるのでしょうか?
(「情報ライブ ミヤネ屋」2025年2月7日放送)