今夜のフリーでメダルが決まる北京五輪フィギュアスケート女子。ROCワリエワ選手のドーピング問題が解決しない中、ショート3位の坂本選手、5位の樋口選手が、ROC3選手の牙城に挑みます。見どころをトリノ五輪金メダリスト荒川静香さんが解説します。

■フリーで得点伸ばせる坂本選手

ーショートプログラム3位の坂本花織選手、フリーの見どころは？

坂本選手の武器はやはり技の一つ一つの出来栄え点が非常に伸びること、質の高さが持ち味です。ショートプログラムでも、全選手の中で出来栄え点では一番得点を加算しました。フリーは技の要素が多くなりますので、それだけ得点を伸ばしていくチャンスがあるということで、今の調子を生かせたらかなり大きな得点になっていきます。

■樋口選手のトリプルアクセルフリーでも決まるか

ーショート5位の樋口新葉選手のフリーは？

樋口選手もショートプログラムでは全選手の中で唯一トリプルアクセルを決めたということで、フリーも冒頭にトリプルアクセルが入っていますので、ここをしっかりと決めることができると、そのあとの演技もスムーズに入っていけてどんどん落ち着いていきます。樋口選手と言えばなんといってもプログラムを非常に情緒豊かに演じますので、演技構成点でも期待できる選手ですから自信を持って入っていって、どんどんのっていってほしいなと思います。

■「出来栄え」の日本か「高難度」のROCか

ー日本がメダルを獲得するには、ROC（ロシアオリンピック委員会）3選手の牙城を崩さなければなりません

ROCの3選手は4回転を武器にするプログラム構成で挑んできます。4回転は決まれば得点も高いんですけれども、失敗した時には得点を落とすという、ハイリスクハイリターンのプログラムですので、難易度が勝負のプログラムが勝るのかそれとも日本の選手たちのように出来栄え点がしっかりと加算されていったプログラムの方が得点が上回れるのかという勝負になってきます。あとはもう本当にメンタルの勝負になってくると思います。

■肝は「伸びやかさ」

ーいよいよ今夜、選手たちはどんな気持ちで臨めばよいでしょうか？

オリンピックは選手にとって夢でもあり目標でもある4年に一度の舞台ですので、今まで積み重ねてきたことに本当に自信を持ってこのフリーに挑むことができたら伸びやかに滑ることができると思います。それがいい演技につながると思いますから、自信を持って伸びやかに滑ってほしいと思います。

ー荒川さんはトリノオリンピックのとき伸びやかにフリーを迎えたんですよね。

やはり伸びやかさというのが最終グループの、どうしても結果が気になりながら滑るわけですからかたくなってしまう選手が多い中伸びやかさは大事です。

■羽生結弦選手らも練習

ー現地では、競技が終わった羽生結弦選手ら男子選手も練習を続けていますね

日曜日にエキシビションが行われますので練習を続けているわけですけれども、やはり試合が終わった選手たちというのはもう次の試合に向けて始動している選手もいるわけですね。羽生選手は足の状態がちょっと気になるところですけれども、ジャンプの数を制限しながら練習しているということで、選手たちによっては次に向けて早くも始動しています。