北京五輪 フィギュア女子フリー得点分析 坂本花織選手に「銅」もたらした“完成度”
17日に行われた北京五輪・フィギュアスケートの女子フリー。上位3選手と樋口新葉選手が獲得した得点を選手毎に細かく分析しました。3位に入った坂本花織選手は、全体でトップの評価を得た“完成度”の高さが改めて浮き彫りとなりました。
■注目選手フリーの得点を分析
フリーで1位のROC(ロシアオリンピック委員会)のアレクサンドラ・トゥルソワ選手、2位のROCアンナ・シェルバコワ選手、3位の坂本花織選手、そして暫定6位の樋口新葉選手、それぞれのフリースケーティングの得点を、ジャンプ(基礎点、出来栄え点)、スピン、ステップ・コレオシークエンス、演技構成点で分析しました。
フリー1位のトゥルソワ選手の特徴はなんといっても驚異的な基礎点の高さ。4種類5本の4回転ジャンプを着氷し、79.39点を獲得しました。これは男子金メダルのネイサン・チェン選手のフリーの基礎点78.86点を上回る、まさに“男子トップ選手顔負けの構成”を滑りきりました。一方で、ステップ・コレオや演技構成点では得点を伸ばせず、フリーでは世界歴代2位の得点だったものの、ショート4位からの逆転優勝はならず、銀メダルとなりました。
フリー2位はアンナ・シェルバコワ選手。高難度の4回転フリップ2回を含むすべてのジャンプを成功させ、高い基礎点に加え、ジャンプの出来栄え点だけで全選手中トップの14.64点を加算しました。スピンのほか、演技構成点の合計でも他の選手を圧倒し、フリーで世界歴代3位の175.75点を獲得。ショートの得点と合わせ総合1位、金メダリストとなりました。
3位は坂本花織選手。大技は組み込まず完成度で勝負したプログラムをミスなく滑りきり、すべてのジャンプで加点のつく演技を披露。ステップ・コレオとスケーティング技術では全選手中でトップの評価を得ました。五輪の大舞台で、ショートに続き自己ベストを更新する153.29点を獲得し、総合でも3位に。ROCの牙城を崩し、日本女子フィギュアではバンクーバー大会の浅田真央さん以来、12年ぶりの五輪メダル獲得となりました。
フリーで暫定6位は樋口新葉。ショートに続き、冒頭で大技のトリプルアクセルを成功させました。ステップでも10.08点の高い評価を得ましたが、複数のジャンプで回転不足やエッジエラーを取られたため出来栄え点を伸ばせず、フリーで暫定6位、総合で暫定5位という結果になりました。