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カーリング女子 初戦の相手は前回王者 勝敗のカギは「後攻」 北大教授がデータ分析

2022年2月9日 10:44
カーリング女子 初戦の相手は前回王者 勝敗のカギは「後攻」 北大教授がデータ分析
日本代表は有利な「後攻スタート」を獲得した割合が高い

2大会連続のメダル獲得に挑むカーリング女子日本代表。2月10日の初戦の相手は前回金メダルのスウェーデンです。日本代表の勝機はどこにあるのか。北海道大学の教授がトップチームのデータを分析し可視化しました。

はたして日本代表の強さとは…

■日本代表試合のカギは「後攻スタート」。その勝率は?強さは?

円の中心に、よりストーンを近づけたチームに得点が入るカーリング。試合は先攻よりも後攻が有利と言われています。

北京五輪直近までのデータを収集・分析したのは、北海道大学・大学院情報科学研究院の山本雅人教授です。山本教授は、過去3年間のトップチームの試合データを収集し、独自に開発したプログラムで分析したといいます。

山本教授が注目するのは、カーリング女子日本代表のロコ・ソラーレが「後攻で試合をスタートした時の勝率」です。データをみますと、全10エンドゲーム制で「後攻スタートの場合の勝率」は「84%」にのぼるということです。ちなみに、トップチームの平均「60.4%」よりもかなり高い、という分析結果となっています。

さらに、データから日本代表のある“特徴”が。山本教授によると日本代表が“1点差でリードされた場合の勝率”をみると、例えば、第1エンドが終わった時点(残り9エンド)で相手に1点リードされていた場合の勝率は「100%」。最終の第10エンド時点でリードされていても「60%」の勝率があり、これもトップチームの平均を上回っているといいます。つまり、データ上、1点リードされていても後攻の場合、高い勝率だという日本代表。山本教授は分析結果についてー。

山本教授「1点差リードされた場合のトップチームの平均勝率は50%以下で『不利』なんですけど、日本代表にとっては有利な展開といいますか、全然不利ではありません。2点リードされていても勝率は55%を超えているエンドもあります」。

さらに、日本代表が残り1エンドで同点の場合でも勝率「85.7%」と平均よりも高い結果となっています。

■日本代表の初戦はスウェーデン対戦チームと比較すると…

データ分析で可視化された“後攻有利”という結果。では、北京五輪で日本代表と対戦する主なチームは、どれくらいの確率で“後攻スタートを獲得”できているのでしょうか?

まずは、初戦の相手スウェーデン。今シーズンのデータでは、後攻を獲得できた割合は「48.9%」そして、カナダは「50%」。前回、3位決定戦の相手、イギリスは「77.8%」と一番高く、日本代表はイギリスに次いで「72.5%」と後攻の獲得率が高いという結果に。

また、スイスは「52.9%」となっています。

山本教授は、データから日本対スウェーデン戦を、こう分析します。

山本教授「(試合に有利と言われている)後攻スタートをとった割合は、日本代表は72.5%と(昨シーズンよりも)上昇しています。一方、対戦相手のスウェーデンは50%をきっています。有利な後攻スタートをとれるかどうかが“ポイント”かなと思います」

■対スウェーデン戦。北大・山本教授「日本は前半に2~3点リードできるかどうか」

また、別のデータで、日本代表とスウェーデン代表をみてみると、「後攻で複数点(2点以上)とれた割合」はスウェーデンが「35.6%」に対し、日本代表は「45.8%」と高く、2回に1回は“後攻で複数点とれる確率が高い”ということです。また、〝スチールされる(得点をとられる)割合〟は、スウェーデンが「16.9%」、日本代表は「13%」。つまり、データ上、スウェーデンよりも後攻で複数点をとる確率が高く、得点をとられにくいということです。

山本教授「データ上、日本代表はリードするとほぼ逃げきっています。リードしているときは完璧な戦い方で、1点差でリードされていても勝率が高い。一方のスウェーデンは2点差リードしたぐらいでは全然安心できない。戦い方がうまいので、早い段階で日本が2~3点リードしていくと勝機はあるのかなと思います。あくまでデータ上での分析ですが、チャンスはあるのかなと思います」

はたして、結果は…
カーリング女子日本対スウェーデンは、2月10日に行われます。