「みんなで島から甲子園へ」奄美大島の高校球児が甲子園初勝利を目指す
雨天順延のため19日に開幕を迎える選抜高校野球。今大会の注目校のひとつが、鹿児島県立大島高校です。
鹿児島本土からフェリーで約11時間の離島、奄美大島。豊かな自然に恵まれ、名物のマングローブ林は日本屈指の大きさを誇ります。その奄美大島にある大島高校が選抜出場を勝ち取りました。21世紀枠で出場した2014年以来、一般枠では初めての甲子園出場となります。
大島高校野球部の選手たちが幼い頃から通ってきたのが、島で唯一のバッティングセンター「しまかわ」です。
姉妹でバッティングセンターを経営する島川姉妹の姉・真由美さんは「小さい時から見ているのですごく親近感はある。小学校の時から比べたらすごく成長していて頼もしいですね」と話し、妹のひとみさんは「8年前は21世紀枠での甲子園だったけど、今年は実力でつかんだ甲子園。素晴らしい快挙に奄美大島の島人みんなが喜んでいます。本当に島の誇りであり島の宝です」と、ともに大島高校野球部の快挙を喜びました。
さらに島川姉妹は選手たちを応援するため、奄美大島の特産品、大島紬(つむぎ)の伝統的な柄「龍郷柄」を模した応援タオルを作りました。妹のひとみさんは「家族みんなで、島人みんなで大島高校を応援しようという気持ちになってくれたらうれしい」とタオルに込めた思いを明かしました。
選手たちが練習終わりに必ず訪れるという島の総菜店「松坂屋」の店主・松井友行さんは「毎日毎週顔を出してくれるような子たちもいます。今日も頑張って活動してきたんだなとわかる姿は健気だなとうれしくなる瞬間でもあります」と語りました。
島全体が応援する大島高校野球部。そのチームの中心は最速146キロ左腕で、プロも注目するエースの大野稼頭央投手と、その球を受けるキャッチャーの西田心太朗選手のバッテリーです。
ともに高校進学の際には島外の強豪校からの誘いがあったという2人。それでも西田選手が「一緒にバッテリーを組んで島から甲子園に行きたい」と大野投手を誘い、2人は地元の大島高校に入学しました。大野投手も「島のみんなで昔からの野球仲間と一緒に甲子園に行けるのが一番良い」と島から甲子園を目指しました。
そして昨年11月に行われた甲子園につながる九州大会。大野・西田バッテリーは沖縄県の強豪・興南高校相手に完封勝利を挙げるなどの快進撃を見せます。見事準優勝を果たし、島から甲子園の夢を実現させました。
今月9日、島で行われた出発式。島民からは「私たち島の住民に元気を与えてくれたこと全てにありがとうとお伝えします」と感謝の言葉が選手たちに贈られました。
夢の舞台に向け大野投手は「(西田)心太朗の構えたところに全力で投げるだけ」、西田選手は「(大野)稼頭央を信じてしっかりリードしてバッターを抑えられるようにしたい」と意気込みを語りました。
大島高校は甲子園初勝利を懸け、23日に関東王者の明秀日立高校と対戦します。(日程は18日時点)