トランスジェンダー選手の参加条件は?
五輪史上初めて男性から女性への性別変更を公表したトランスジェンダー選手が重量挙げで出場します。トランスジェンダー選手の参加条件はどうなっているのでしょうか。国際オリンピック委員会(IOC)が採択したガイドラインをまとめました。
■性別適合手術は不要、選手の人権尊重を
2015年11月にIOCが公表した「トランスジェンダー・ガイドライン」は以下の通りです。
1.トランスジェンダーの選手が競技スポーツから排除されないよう、可能な限り出場機会を確保しなければならない。最も重要なのは公正な競争を担保すること。出場への制限は目的にかない適切で必要な範囲であることが求められる。性別適合手術は不要。性別適合手術を参加の条件にすることは、法の進展と人権の概念と矛盾する可能性がある。
2-1女性から男性へ移行した選手の参加は条件なし。
2-2男性から女性へ移行した選手の参加は、以下の条件で出場が可能。
(1)性自認が女性であることを宣言していること。宣言した性自認は、スポーツ競技目的で、最低4年間は変更することはできない。
(2)出場までの少なくとも1年間は、血清中の総テストステロン値(※注)が1リットル当たり10ナノモル以下を維持していること。
(3)女性の競技に出場している期間、血清中の総テストステロン値が、常に上記(2)の数値を維持していること。
(4)違反した場合は、女性の競技への参加資格が1年間停止される。
※注:テストステロン値とはいわゆる男性ホルモン値のこと。筋肉を増強するとされるホルモンの一種。
出典)IOC Consensus Meeting on Sex Reassignment and Hyperandrogenism(2015年11月)
■写真:ロイター/アフロ トランスジェンダー選手として初めて五輪に出場するローレル・ハッバード(ニュージーランド)