元最多獲得メダリストが語る“嬉しいメダル”“悔しいメダル”
17日に行われたスピードスケート女子1000メートルで、髙木美帆選手が金メダルを獲得。通算7個目のメダルで、日本人女子選手として歴代最多の獲得数となりました。メダリストは「メダル」の色や数はどう捉えているのでしょうか。夏季五輪で通算5個のメダルを獲得したアスリートに話聞くと、返ってきたのは意外な答えでした。
■髙木美帆選手歴代最多7個目のメダルは「金」
北京五輪のスピードスケートで、五種目の競技にチャレンジし、金銀合わせて4つのメダルを獲得した髙木美帆選手。17日に行われた女子1000メートルでは悲願の金メダルを獲得し、日本人女子選手としては歴代最多となる通算7個目のメダルを手に入れました。
複数のメダルを持っていると、何か特別なこと、思わぬことも起きるのでは…?そんな疑問に答えてくれたのは、高木選手に次ぐ通算五個のメダルを獲得した、元シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング)日本代表の武田美保さんです。
■メダル最多獲得も「気にしたことがなかった」
武田さんが初めてのメダルを獲得したのは1996年のアトランタオリンピック。その後、シドニー大会(2000年)、アテネ大会(2004年)でも活躍し、銀メダル4個、銅メダル1個、計5個のメダルを獲得しています。一時は日本人女子選手として最多のメダル獲得者でしたが…。
「後から言われて、そうなんだという感じで。現役時代にいくつメダルを取ったとか、あまり気にしたことはなかったんです」
現在、5個のメダルはどこにあるかと尋ねると、少し申し訳なさそうに答えてくれました。
「実は飾ったりしてるわけではなく、ケースに入ったメダルを布の袋に入れて置いてます。講演会やイベントなどに招かれた際、要望があれば持って行くこともありますね」
■「色や個数ではない」メダルに込められた思い
メダルの保管方法について、端から見ると扱いが雑に見えるかもしれないと笑う武田さんですが、メダルは「取り組んできたことへの対価であり証し」といい、自分にとって、いつまでたってもとても大切なものだといいます。
また、高木選手が競技する姿をテレビで見守っていたともいい、オリンピアンならではの視点から、次のように語ってくれました。
「金メダルでなくても“うれしい銀”と高木選手が話していたように、一口にメダルと言っても込められた思いは選手によって全く違います。色や数に関係なく、メダルにはそれぞれ全く違った意味があるんです」
実際、武田さんが銀メダルを獲得したときも、自分なりの最高の演技で獲得した“うれしい銀”もあれば、納得できない演技で得た“悔しい銀”もあったと振り返ります。
■「どんどん追い抜いてください」次世代アスリートに期待
武田さんは、複数の種目でメダルを取ったり、夏冬両方の五輪に出場する選手がでてきていることに、大きな期待を寄せています。
「昔はなかったことですが、アスリートの意思が尊重されているように感じます。複数の競技に出場しメダルを取る方は増えるかもしれません。(自身の記録を)どんどん追い抜いてほしいと思います」