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フェンシング界がウクライナ人コーチを支援「Help Oreg and Sasha Project」

2022年3月25日 14:04
フェンシング界がウクライナ人コーチを支援「Help Oreg and Sasha Project」
東京五輪で金メダルを獲得したフェンシング日本代表(一番左がサーシャコーチ)【写真:ロイター/アフロ】

いま、フェンシング界でウクライナ人コーチを支援する「Help Oreg and Sasha Project」が立ち上がっています。

東京五輪のエペ団体で、フェンシング史上初の金メダルを獲得した日本代表。金メダルへと導いたのは、ウクライナ出身のオレクサンドル・ゴルバチュク(愛称:サーシャ)コーチ(49)です。

そして、2008年夏の北京オリンピックで、銀メダルに輝いた太田雄貴さんを指導していたのが、同じくウクライナ出身のオレグ・マツェイチュク元コーチ(50)です。

長年にわたり日本フェンシング界を支えてきた2人が、いま戦争に苦しめられています。

日本にいるオレグ元コーチは、「キーフには僕の母親が残っています。72歳のため家から逃げたくないと言いました。母は、夜は朝にかけて寝袋を持って地下鉄で過ごしています。(妻と娘は)ウクライナの南西にあるチェルニウツィー州に避難しました。毎日、朝起きたら必ず写真が届いています。でも、いつまで安全にいられるのかわからないです」と話し、家族が危険にさらされていることを明かしました。

一方、サーシャコーチは、このような状況下でも日本代表コーチとして、国際大会に帯同しています。息子はウクライナに残り、妻と娘は、ドイツに避難したといいます。

サーシャコーチと13年の付き合いがある山田優選手は、「『心配で夜も寝られない』と言っていたし、今回(3月の国際大会)は、そんなに無理してサポートに入らなくてもいいんじゃない?という感じだったんですけど、サーシャは『選手のために頑張るんだ』と言って一生懸命やってくれましたね。僕にとっては本当にコーチというより、お父さんに近いような(存在)」と話します。

こうした状況に置かれている2人と、その家族を助けるために発足したのが、「Help Oleg and Sasha Projet」です。寄付金を募り、家族が元の生活に戻れるよう支援しようと、元日本代表監督の江村宏二さんが発足させました。

江村さんは、「今の現状・状況を目の当たりにしたときに、今までの生活に戻れるようにするためには、すごくお金がかかってくると思うので、そういったところに使ってもらうというのが私の考えでした。“フェンシングファミリー”という言い方をよくするんですけど、みんなやっぱり『オレグコーチとかサーシャコーチのために何かしてあげたい』という思いをずっと持っているんですね」と、このプロジェクトへの思いを語りました。

フェンシング協会会長の武井壮さんや、太田雄貴さんも、SNSでこのプロジェクトについて発信。3月中旬時点で、支援金は約528万円にのぼっています。

実は、日本の選手たちはウクライナでよく合宿を行い、現地の選手たちとの親交もあります。

山田選手は、「他の国に比べて、本当に“家族のようなチーム”だなと思っていますね。僕たちが行っていた合宿所がすごいボロボロになっていたりとか、本当にここで練習していたのかなと思いましたし、それを見て本当に現実なんだなって感じさせられる部分がありましたね。一緒に頑張ってきた仲間でもありますし、一刻も早く(戦争が)終わって、また一緒にフェンシングが楽しんでできたらいいなっていうのはずっと思っていますね」と、ウクライナへの思いを明かしました。

また、オレグ元コーチも、「ウクライナを支えてくれて、日本にも大きな感謝を述べたいと思います。真実は必ず勝ち取ります」と話し、一刻も早く戦争が終結することを願いました。

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