【決意】園の送迎バス置き去りで熱中症死から3年 安全装置の設置率は県内で100パーセントに 子どもの命を守る 福岡
福岡県中間市で5歳の男の子が保育園の送迎バスに取り残され、死亡した事故から29日で3年です。相次ぐ事故を受け、園の送迎バスには安全装置の導入が義務づけられ、ことし、県内で設置率が100%となりました。より安全な保育のための取り組みが続いています。
■宮原真記者
「保育園の駐車場では、事故から3年がたったきょうも、献花台に花や飲み物、お菓子などが供えられています。」
この場所で亡くなった倉掛冬生(くらかけ・とうま)ちゃん。当時、まだ5歳でした。きょうも、現場を訪れる人の姿がありました。
■飲み物を持ってきた人
「これから先、絶対あってはならないことだと思いますし、なくすために忘れないことが大事だと思います。特に現場の方たちに気をつけていただきたい。」
冬生ちゃんは3年前の7月29日、中間市の双葉保育園の送迎バスにおよそ9時間にわたって一人で取り残され、死亡しました。死因は熱中症でした。
相次ぐバス内での置き去り死亡事故を受け、国は幼稚園・保育園に対し、送迎バスに安全装置を導入することを義務づけました。
北九州市八幡東区の高見幼稚園では2023年5月、送迎バスに安全装置を設置しました。職員は子どもたちがバスから降りたことを確認し、バスの後方にあるボタンを押す必要があります。
万が一、バス内に取り残されてしまったとしても、園児が床にあるマットを踏むと。
■クラクション
「プププー。」
クラクションが鳴り響きます。さらに、2024年6月からは出欠の管理のためのソフトを導入しました。子どもたちが登園予定か、それとも欠席か、それぞれの状況を正確に把握できるといいます。
■高見幼稚園・松崎恵龍 園長
「装置をつけたのですが、その装置が作動することは、きょうに至るまで一度もありませんでした。何事も絶対というのはないわけですから。もっとこういう仕組みを取り入れれば、もっと安全になるんじゃないか。日々のアップデートが必要だと考えています。」
福岡県によりますと、安全装置の設置率は2023年6月時点では50%あまりでした。その後、設置が進み、2024年3月の調査では100%を達成しました。
福岡県は研修制度を導入
■研修映像
「送迎車両にお子さんを取り残しの件について、どうすれば予防できるのか。」
さらに、福岡県は新たな取り組みを始めました。子どものバス送迎に関わるすべての職員を対象とした研修制度です。合計3時間のカリキュラムを受講後、レポートを提出します。
2022年の開始以降、3000人以上が受講しています。研修の目的は、子どもたちの安全を守る「人の目」を養うことです。
■福岡県こども未来課・山口慶太係長
「安全装置に任せきりにしていけば、機械ですからエラーが出ることもあります。人の目と機械と両方あって、安全対策はしっかり成り立つのかなと思っています。」
痛ましい事故から3年。幼い命を守るための取り組みが続けられています。