【解説】火山灰で首都機能がマヒ 富士山噴火で首都圏の降灰対策は? 国の検討会が議論スタート
7月22日から28日までの期間、国内では震度1以上の地震が33回ありました。
▼22日午前10時07分ごろ、茨城県、栃木県、埼玉県、福島県で震度3の地震がありました。震源は茨城県北部で地震の規模を示すマグニチュードは4.8、震源の深さは89キロでした。
▼23日午前8時27分ごろ、宮城県石巻市や岩手県一関市などで震度3の地震がありました。震源は宮城県沖、マグニチュードは4.7、震源の深さは66キロでした。
▼25日午後1時01分ごろ、千葉県大網白里市や九十九里町などで震度3の地震がありました。震源は千葉県北東部、マグニチュードは4.0、震源の深さは33キロでした。
▼28日午前0時58分ごろ、岩手県二戸市で震度4の地震がありました。震源は岩手県内陸北部、マグニチュードは4.2、震源の深さは10キロでした。(速報値)
1998年以降の富士山周辺の地震活動です。山頂を中心に地震が多く発生していて、山頂の北東側には比較的最近の地震活動もみられます。
富士山の南側では2011年にマグニチュード6.4、最大震度6強となる地震もあり、その後、活動が活発になりましたが、2016年以降は以前の状態までには戻ってはいないものの、概ね低調に経過しているということです。
気象庁によると、火山性地震の発生も少なく、現在、地震活動は低調に経過しているということです。
検討会の座長 東京大学・藤井敏嗣名誉教授
「火山災害、あるいは地震災害というのは、我々が生きている間に経験してないようなことが自分の世代に起こるわけですから、あらかじめ、色々な可能性を考えて検討しておくことが重要だと思いますので、首都圏に大きな影響を及ぼす可能性のある降灰については、対策をきちんと考えていきたい」
7月26日に始まったのは、「首都圏における広域降灰対策検討会」。富士山の大規模噴火をモデルケースに対策が議論されます。
国は2020年、富士山噴火によって大量の火山灰が都心などに降り積もり、交通やインフラなど都市機能に大きな影響を及ぼす可能性があるとする検討結果を公表しています。
今回の検討会では、いくつかのテーマごとに議論をおこない年内に、指針を取りまとめます。
想定される噴火のケースですが、富士山最後の噴火、1707年の宝永噴火クラスの大規模なものがおきた場合、爆発的な噴火で大量の火山灰が噴出、上空の西風に乗って、首都圏に降り注ぐとされています。
東京都心では3時間後に火山灰が降り始め、2週間後には10センチ程度積もり、停電が発生したり、交通機能がマヒしたりするとの被害想定を2020年に公表しています。
鉄道では、微量の降灰で地上路線の運行が停止します。また滑走路では、2ミリ以上で除灰が必要に、さらに停電の発生や、上水道の断水も想定されています。
検討会でも、火山灰をどのように処理するかは大きな課題です。
量は約5億トン、東日本大震災で出た災害廃棄物の10倍の量になります。雪と違って、火山灰は溶けないため、ライフラインの復旧には道路などに降り積もった火山灰を除去しなければなりません。
国は年内に、対策の指針をまとめることにしています。