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北京五輪閉幕事前のメダル予想はどこまで的中?米データ会社分析責任者に聞く

2022年2月21日 19:02
北京五輪閉幕事前のメダル予想はどこまで的中?米データ会社分析責任者に聞く
写真:松尾/アフロスポーツ

20日に閉幕した北京五輪。日本代表は金メダル3つを含む過去最高の計18個のメダルを獲得しました。大会直前に米国の大手データ会社が発表した「日本の獲得メダル予想」は的中したのか?分析責任者サイモン・グリーヴ氏のコメントとともに振り返ります。

■全体の獲得数は「ほぼ的中」

米国の大手データ会社グレースノート社が大会直前に発表した「メダル獲得数予想」では、日本代表は金メダル3個、銀メダル7個、銅メダル9個の合計19個と予想されていました。

実際には銀メダルが1個少ないだけで、金メダル数、銅メダル数は見事的中。全体で1つしか違わず、「ほぼ的中」という結果になりました。

ここまで正確にメダル獲得の数を予測できたのはなぜだったのでしょうか。グレースノート社で分析を行うサイモン氏は次のように振り返ります。

「日本の競技者がオリンピック前に記録するデータは、日本のメダルを予測する上で非常に精度が高いことがわかります。しかしながら、メダル獲得総数において予測と結果がこれだけ近づいたのは、私たちにとって運が良かった面があったのも確かです」グレースノート社では、各選手・チームが五輪開催前に出場した各競技の大会で残した記録を元にメダルの予想を行っています。

サイモン氏によると、日本代表の選手が事前の大会で高いパフォーマンスを示し、それを維持して大会に臨んでいることが高い精度の予想に結びついたということです。

一方で、それだけでは説明できない部分が、サイモン氏の言う「運が良かった」ところです。

実は、メダル総数では「ほぼ的中」ですが、個別の競技をみてみると、予想は微妙に外れているところもあります。

■予想を振り返っての一番の驚きは「カーリング女子の躍進」

分析に使用したデータと比較して、驚きの結果があったという点では、カーリング女子日本代表が獲得した銀メダルだったといい、次のように述べました。

「4年前の平昌大会の同種目で日本は銅メダルを獲得したものの、2018年五輪以降の3回の世界選手権では、10位、4位、11位という結果でした。2021年の世界選手権の11位という結果は、世界選手権で6位以内に入れなかった日本がオリンピック予選を戦わなければならなくなる状況を招きました」こうしたことから、グレースノート社の予想では、カーリング女子日本代表はメダル獲得とは予想されておらず、女子日本代表の銀メダル獲得は、予想を大きく覆す結果となりました。

■各選手ごとの予想結果は・・・

それ以外の競技ではどうでしょうか?事前予想ではスキージャンプ個人ラージヒルで小林陵侑選手が、そしてスキージャンプ個人ノーマルヒルで高梨沙羅選手が、さらにスピードスケート1500mで髙木美帆選手が、それぞれ金メダル獲得と予想されました。

しかし結果は、いずれも異なるものに。

そして2位と予想されていたスキージャンプ個人ノーマルヒル小林陵侑選手、3位と予想されていたスノーボードハーフパイプ平野歩夢選手、3位と予想されていたスピードスケート1000m髙木美帆選手が、それぞれ予想を覆して金メダルに輝きました。

こうした違いはどのように捉えたら良いのでしょうか。

再びサイモン氏に尋ねてみると・・・。

「スポーツ選手は人間であり、ちょっとしたことで予想と異なるパフォーマンスを見せることがあります。ですから、私たちの予想するメダル獲得数予測が全て正確に当たるとは思えませんし、またそうあるべきとも思っていません」その上で、予想とは違う結果が出ることについて、こう語りました。

「スポーツは予測不可能なことが起こるものであり、だからこそ私たちはスポーツを楽しむことができるのです。金メダル、銀メダル、銅メダル、そして4位との差は、ある競技では100分の1秒、1000分の1秒、あるいは非常に小さな点差で測られることが多いのです」データだけでは切り取りきれない、極限の戦いが繰り広げられていることこそ、スポーツの醍醐味だといいます。

■より正確な予想をしていくために

サイモン氏は、今後も信頼度の高い予想を続けていく上で、より精度を高める努力を続けていくとしています。

北京五輪が閉幕したばかりですが、サイモン氏は早速、正確な予想を行うために必要な検証作業に着手し、データを活用した分析手法に、さらなる改良を加えていきたい、としています。