【ラグビー日本代表】初招集時代は「あまりに腕が細すぎ」稲垣啓太 全選手紹介#30

■W杯はエベレストの“デスゾーン”
中学3年生でラグビーを始めた稲垣選手は、新潟工業高校に進学すると、3年時に飛び級でU-20日本代表に選出。
その後、関東学院大学では主将を務めると、2013年にパナソニック(現・埼玉パナソニックワイルドナイツ)に入団しました。
初年度からトップリーグで活躍すると新人賞を獲得。翌年には代表初キャップを得ると、2015年にはスーパーラグビーのレベルズにも所属しました。
ワールドカップは2015年、2019年に出場しており、今回が3度目。チームのスローガンを「エベレスト」と例えます。
稲垣選手は、「エベレストに登頂するというイメージをチーム全員が持っています。エベレストの途中にデスゾーンってありますよね。その危険と言われる地帯が“ワールドカップ”だとみなしているんですよ。じゃあデスゾーンに入るためにどんな準備が必要なのか、選手全員がみんなわかっていますし、スタッフもみんなわかっています。最終的に必要なのはマインドの部分。全員が同じ意識・目的・目標を常に共有できていること、ミスが起きた時にどうやって立て直すか、全員がすぐ同じ方向に向かえることが一番ベストだと思っています」と教えてくれました。
■スクラムは“組む前”に決まっている
プロップの稲垣選手はスクラムの最前線で屈強な海外選手と戦います。
スクラムの重要性について「そこで自分たちのボールを確保できないで、かつ相手にペナルティーを与えてしまうようなことがあれば、もうその時点で自分たちのプレーはできないわけです。自分たちのスクラムが劣っているとみなされれば、相手は一生そこを攻めてきて、一生僕らはアタックできないでしょうし、どれだけ重要な役割であるか知っていただきたいです」と話します。
それでも戦う相手は、時に自分たちよりも大柄な海外選手。それでも日本代表にはそれをしのぐポイントがあるそうです。
「日本代表のスクラムは、進むべき方向性、どの角度に向けて押すには一人一人どういった役割をしなければいけないのかを全員がわかっている。これが世界各国と日本代表のスクラムの違いだと思っています」と稲垣選手は言います。
またスクラムは“組む前”にほとんど優劣が決まっているとも話します。
「セットの時点で相手のポジショニングを不利にさせる。そうすることによって、組んだ後も相手が不利な状態が続いている、日本代表の有利な状況が続いて、そこでアドバンテージを取る。これが今ずっと取り組んでいることです。(前回大会もそうでしたが)そのクオリティーというのをどんどんどんどん高めている最中です」