×

石川祐希“最後の1点”に足りなかったものは?「僕にはなかった」バスケのカリーを見て感じる

2024年8月25日 9:45
石川祐希“最後の1点”に足りなかったものは?「僕にはなかった」バスケのカリーを見て感じる
石川祐希選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
パリオリンピックで、目標としていた52年ぶりのメダル獲得に届かなかったバレーボール男子日本代表。日本テレビ『Going!Sports&News』は帰国後、キャプテンの石川祐希選手を取材しました。

「負けてから(帰国するまで)1日あった。エッフェル塔、凱旋門に行った選手はいた。僕はなにも部屋でダラダラ独り。僕たちが負けた後に、いろんな人がメダルを取って。『うわぁクソ!』みたいな。これが現実」

悔しさしか残らなかったというパリオリンピック。試合直後のインタビューでは「みんなと作ってきた集大成がこういう結果に終わってしまったので、キャプテンとしても力不足、1人のエースとしても力不足だったと感じています」と話していました。

勝利目前のマッチポイント「一瞬の隙ができてしまった」

激闘となった準々決勝のイタリア戦。石川選手はエースとしてチームをけん引。第1セットで6得点、第2セットで9得点。チームトップの得点を挙げると、流れも日本へ。25-20、25-23と2セット連取し、第3セットへ。そして第3セットでは、石川選手の得点で24-21。マッチポイントを迎え、勝利目前としました。

「これを取ったら準決勝。僕も、他の選手も、スタッフも周りの人たちも、多分全員そういう思いだったと思う。早くゲームを終わらせたかったのか、一瞬の隙ができてしまったのか、そこが一番。思い返すとあそこ」

焦りとなって表れた“隙”は、日本の歯車を狂わせる結果に。象徴的だったのは、24-22で迎えた場面。レシーブが乱れながらも、強引に石川選手にアタックさせるため、ボールを集める日本。石川選手はイタリアブロックの指先のワンタッチを狙いますが、ボールは相手に当たらず。アウトとなり、得点を奪えませんでした。

「『ここで1点取らないと』思いすぎて。通常ならリバウンド(相手に当てて自陣に戻す)。もう少しリスクを背負わずにプレーしていたら…」

この日本が見せた焦りを、イタリアは見逃さず。日本は25-27で第3セットを失うと、第4セット、第5セットも奪われ2-3のフルセットで敗戦。石川選手は両チーム最多の32得点を挙げるも、チームの勝利には届かず。ブラン監督の前では、人目をはばからず涙。集大成と臨んだパリオリンピックが終わりました。

「僕にはなかった勝負を楽しむ姿」ステフィン・カリーを見て思うこと

日本に戻ってきて、“最後の1点”に何が足りなかったかの質問に、石川選手はパリオリンピックを通じて感じていたことがありました。

「いろんな選手やメダルマッチを見ていると、結果を出している選手は意外と“頭はリラックス”しているんだなと感じました。印象的だったのは、バスケが好きだからバスケの話になるのですが…」

石川選手が帰国後、見ていたのは男子バスケットボール代表の準決勝アメリカvsセルビア。NBAのスター選手が集うアメリカは、第2クオーター途中には最大17点差をつけられる展開。それでもここから底力を見せつけ、第4Qには驚異的な追い上げ。残り2分24秒には、ステフィン・カリー選手の3ポイントシュートで大逆転。95-91でひっくり返し、決勝に駒を進めました。この時、石川選手はカリー選手の表情が忘れられなかったと言います。

「第4Qの最後(残り8秒でアメリカの2点リードの場面)、ステフィン・カリー選手がフリースローを決めて、勝負が終わった。普通は集中すると思うんですけど、彼はセルビアのヨキッチ選手と笑っていた。それが印象的だった。相手との勝負を楽しむ姿、それは確かに僕にはなかった。フォーカスし過ぎたのかな、勝ちに囚われ過ぎたのかなと思いました。負けからいろいろ学んだと感じています」

勝負所で勝ちたい気持ちが焦りとなっていた自分たちとは対照の表情。大舞台での勝負を楽しむ気持ちも、兼ね備えることが大事だと痛感していました。

石川選手は来季はまた新たな挑戦。世界のトッププレイヤーが集まるイタリアの王者ペルージャへ移籍。世界最高峰の舞台で、更なるレベルアップを図ります。

「オリンピックが終わった時はちょっと休みたいなという感じでしたけど、もうやるしかないな。むしろ『やってやろう!』の気持ちが大きい」

出国時には自身のインスタグラムで「バレーボール極めてきます!!!」とコメント。ロスオリンピックへ新たな一歩を踏み出しています。