【特集】県内最年少26歳の町議会議員誕生 手探りの選挙戦に若者ならではの視点…若者の政治参加を考える
県内では今年、県知事選挙をはじめ、自治体のトップや議会議員を決める選挙が数多く行われます。
今月上旬には、八郎潟町で町議会議員選挙が行われ、25日、改選後初めての議会が開かれました。
12年ぶりの選挙戦で当選した中で、唯一20代の男性がいます。
家族も含めて政治の経験はありません。
現職の県内の市町村議会議員で最年少、26歳の男性を通して、若者の政治参加を考えます。
八郎潟町議会議員の小林響騎さん。
今月9日に投票が行われた町議会議員選挙で初当選しました。
25日、初めての議会に出席した小林さん。
この先、町政に対する質問に立ったり、議案の採決に臨んだりします。
■政治経験なし 26歳が議員を志したワケ
潟上市のショッピングモールにあるペットサロンで店長を務めている小林さん。
働き始めて6年目です。
小林響騎さん
「なるべく負担をかけないようにとか、そこらへんは気をつかっています。ね?ふふ、お利口さんじゃん。どうしたの?」
八郎潟町で生まれ育ち、秋田市にある高校、専門学校を出たあと、ふるさとで就職した小林さん。
社会人として、どうすれば生活が良くなるのかを考え始めたことが、政治に関心を持ったきっかけです。
一緒に働く父親に、町議選に立候補することを知らせたのは、直前になってからでした。
父・小林聡さん
「そうですね、いいことだと思いましたね」
「新しい風が入ってきてですね、町の様子が変わっていくんじゃないのかなと思いましたので、大いに若い人には前に、一歩前に出てほしいなという気持ちでありました」
■選挙カーも事務所もなし…手探りの選挙戦
5日間の選挙戦。
小柳聡 氏
「まずは子育て世帯の切れ目のない経済的軽減をまず、します」
京極幸村 氏
「人口減少に取り組むことは非常に難しい課題ではありますが、一生懸命取り組んでまいりたいと思います」
定員12を上回る15人が立候補して、それぞれが様々な政策を訴えました。
小林さんも交差点に立ち、新たに用意した拡声器を使って政策を訴えようとしましたが、機材トラブルのため、急きょ自らの声で有権者に訴えを届けました。
小林響騎さん
「八郎潟町を、経済を循環させ、豊かな、みんなが暮らしていける、豊かな町にしますので、どうか応援のほどよろしくお願いします」
選挙戦で初めて経験する演説。
足元に置いたメモを見ながら、最も重視する公約に掲げた経済政策を訴えました。
小林響騎さん
「口だけでなく、しっかり実現できるようになれたらと思います」
今回の選挙で小林さんが心がけたのが「できるだけ費用をかけない選挙」です。
選挙カーは借りずに、自分の軽乗用車で町を回り、支持を訴えました。
小林響騎さん
「一番若いのでなんとかご支援お願いします」
「頑張ってください。寒くて大変だな」
節約のため、選挙事務所も設けなかった小林さん。
大きな負担に感じたのは、法律に定められた票を得られなかった場合没収される供託金と、印刷物の費用です。
小林響騎さん
「“供託金”が15万、あと、印刷物とかポスター等で、タスキとかも、あれで40、から45ぐらい。それで60(万円)」
「地方の議員選だからまだ15万ですけど、知事選とかになったら今度300万とか、もうとても普通の人は出られる金額じゃないので…」
小林さんは、貯金を切り崩して、約60万円の選挙費用をひねり出しました。
ポスターの印刷代など自治体の補助が出るものもありますが、選挙に向けた金銭的負担は軽くありません。
それでも、出馬したのは、町政に若者の声を届けたいという思いからでした。
若い世代の活躍に期待を寄せる住民も少なくありません。
住民
「年寄りばっかりだから、この若い人の底力、そういうのってすごく必要だと思うの」
投票率が低く、政治に関心が薄いとされている若い世代。
小林さんは、暮らしに直結する政治は他人に任せるだけではいけないと考えています。
小林響騎さん
「ほかの人に任せて他人事じゃなく、しっかり自分の手でなんとかこの町を活気づけようって、そういう思いで立候補しました」
■迎えた開票日 県内最年少議員の志
町議会議員選挙の開票の日。
渡邉滋 選挙長
「小林響騎。169票、169票。当選人と決定いたします」
小林さんは、169票を得て初当選しました。
現職の県内の市町村議会で最も若い、26歳の議員の誕生です。
父・聡さん
「票を入れていただいた方々がいらっしゃるので、その期待にしっかり応えていかなきゃいけないと思いますので、頑張っていただきたいと思います」
小林響騎さん
「若い人の意見ってなかなかくみ取られづらいので、若い人の考えだったりを町政に届けるのが私の使命だと思っていますので、全力で取り組んでいきたいと思っています」
町民の代表として。
そして、若者を代表する気持ちで。
新たな舞台での歩みが始まります。
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八郎潟町議選の結果を受けて、県内の市町村議会議員の平均年齢は61.93歳になりました。
出馬できるようになる年齢は25歳ですので、若い議員が少ない現状がみてとれます。
選挙に出るのはハードルが高いと感じたとしても、どのような候補がどのような政策を訴えているのかを聞いて、1票を投じることも政治参加の一つです。
県知事選挙と、7つの市と2つの町のトップを決める選挙の告示まで、1か月を切っています。