【沸騰化の処方箋】豚骨スープで走る絶景列車!“福岡のエジソン”が燃料を独自開発
“豚骨スープ”を燃料に走る絶景列車が注目を集めています。スープが軽油の代わりになるため、化石燃料の使用削減に繋がるこの列車。一体スープでどうやって列車が走るのでしょう?燃料を開発した“福岡のエジソン”にも直撃しました。
ユニークな“燃料”に観光客から驚きの声が続々
宮崎県高千穂町にある「あまてらす鉄道」。トロッコのような開放感、その高さはなんと約105m!日本一高い鉄橋を渡るスリルが人気の観光列車。この絶景をひと目見ようと、世界各国から観光客が殺到しています。
この絶景列車の燃料こそ、国民的グルメ「ラーメン」の豚骨スープ。取材時、その情報を観光客に伝えると、「絶対ウソや。絶対ウソ!」や「本当に?クレイジーとても面白いわね」など驚きの声が寄せられました。
スープで一体どうやって列車が走るのか。原料となる豚骨スープを提供する店のひとつ、福岡県博多市『博多一幸舎 博多駅筑紫口店』の厨房を取材しました。
豚骨スープを回収する前の作業について、「飲み残しのスープをこの中に入れると、脂とスープを分別して、この下に脂だけを回収する装置になっています」と、博多駅筑紫口店の藤野淳也店長は説明します。
分離したラードに薬品を入れて科学反応させ、水分や不要な物質を取り除くと、バイオディーゼルという燃料に生まれ変わる仕組み。軽油の代わりになるため、化石燃料の使用削減に繋がるのです。
原動力は次世代への思い「ひ孫が大事に育ってくれたら」
ラーメン店で残った豚骨スープを回収し、軽油の代わりとなる“燃料”に変える。そんな技術を開発したのが、ラーメンの聖地・福岡にいる、"福岡のエジソン"こと西田眞壽美さん。福岡県新宮町にある『西田商運』の会長を務める傍ら、知識ゼロのなか独学で燃料の開発を始めたといいます。
番組ディレクターからの「(作り方を)誰に聞く?」という質問に、「燃料に聞きます」とさらりと答えた西田さん。燃料に問いかけ続ける開発は、失敗の連続だったといいます。
「センサーが壊れていて、(油の温度が)230度まで上がって、それに水入れたから爆発して頭からかぶった」と失敗エピソードを明かした西田さん。沸騰した油を頭からかぶるという大きな失敗に驚くディレクターに対して、「(油を頭からかぶったが)どうもなかった」と軽々と答えました。
そして、10年がかりで新燃料が完成。自社のトラックから出る排気ガスに心を痛めていた西田さんですが、この燃料を使用することでCO2削減につながっています。
「自分が(環境について)できることは次世代にって。ひ孫が大事に育ってくれたらという思いからブレてなかった」と開発への思いを語る西田さん。いまや“沸騰化”の時代に突入した地球。次の世代に沸騰化を引き継がないよう、日本の企業や人々によって、CO2を削減する取り組みが進化し続けています。