投資詐欺で約6,000万円被害!投資歴20年の男性を信じ込ませた“3つの仕掛け”とは...?急増するSNS型投資詐欺、愛知県内の被害額は約62億円
投資歴20年を超える男性が、まさかの投資詐欺被害に。子や孫のためを思い、払った金額は約6,000万円。巧妙に仕組まれた、詐欺師による“3つの仕掛け”とは。中京テレビは、投資詐欺の被害にあった男性を取材しました。
LINEで投資の学習グループに招待
「詐欺という認識はまるっきりなかったんです。1カ月、7月16日から8月16日で、総額が6,050万円弱」
こう語るのは、投資詐欺の被害にあった、名古屋市在住の男性(78歳)。20年以上の投資経験があったといいますが、それにも関わらずだまされてしまったのには、詐欺師の巧妙な3つの仕掛けがありました。
きっかけは、インターネット使用中にみつけた、“無料で株の評価をする”とうたう広告。男性は「クリックしたのが、引っかかった原因ですね。それが初めてなんです」と話し、「子どもとか孫へ利益が出れば、いろいろ提供できると思いまして。本格的に株式を運用してみようかと」と、当時の心境を明かしました。
広告をクリックすると、LINEに誘導されたという男性。
『初めましてアシスタントの伊藤理沙です。先生はシニアアナリストで、金融業界で30年以上の経歴を持っています』
“アシスタントの伊藤”を名乗るアカウントが、連絡をしてきたといいます。
ここで詐欺師による、“1つ目の仕掛け”が。アシスタントが投資の学習グループを紹介してきたのです。
「先生のおかげで何パーセント利益が出ましたとか。相場状況もおかしくないし、内容的に信用した」と話す男性。グループ内のやりとりに、違和感を感じなかったといいます。
このグループ内で、『利益が出た』と話題にあがっていたのが、“ある投資アプリ”上での取引。
男性に曰く、その投資アプリは「お金を口座に入れると口座に応じて、機関投資家が購入した株の割り当てをする」というもの。「自分も試しにやってみよう」と思った男性は、その投資アプリをダウンロードし、指定された口座に50万円を入金したといいます。
グループ内で話題を集めていた“投資アプリ”。その運営のなかにも、男性を信じ込ませる“2つ目の手口”が潜んでいたのです。
投資アプリをダウンロードし、50万円を入金した男性。その後の経過について、「(アプリを)見たところ、4万2千円の利益があったんです。“大丈夫かな”と思いながら出金依頼をかけたところ、(金が)私の口座に振り込まれたものですから」と話します。なんと、アプリ上で出た利益が、実際に男性の口座に振り込まれたのです。
“アプリで利益が出ればきちんと振り込まれる”
そう信じた男性は、その後も紹介される投資話をもとに、複数回にわたり、あわせて計3,650万円を入金。その際、指定された口座は毎回違うものでしたが、「おかしいと思いながら、生半可な知識であったものですから。そうなのかと(納得してしまった)」と、当時を振り返ります。
そして1カ月で、アプリ上の金額は2億円近くに。引き出そうとしたところ、LINEにて『13%のサービス料は先にお支払いいただく必要があり、お支払後に出金手続きを行うことができます』というメッセージが届きました。
サービス料として、2,343万円の要求。男性は、このお金も支払ってしまいました。
しかし、今度は『配当税がかかる』というメッセージが届き、“さすがにおかしい”と、詐欺に気づいたといいます。
だましとられた金額は、あわせて約6,000万円。入金したお金について男性は、「退職金とか蓄えです。もうこれ本当にショックでね」と心境を吐露しました。
男性をだました“3つ目の仕掛け”は、相手の肩書きでした。詐欺師がかたる会社名は、実在するものだったのです。
詐欺師に“名前を使われた会社”に実際に問い合わせてみると、「伊藤理沙という人物は在籍しておりません」という回答が。続けて、「詐欺に関する問い合わせが多く来ていて、弊社も困っています」と現状を明かしました。同会社では現在、ホームページ上で注意喚起を行っているといいます。
SNSを入り口に、犯人と会うことなく、金をだまし取られるSNS型投資詐欺。男性は「家族に話せば多分、『おかしい』と最初からそう言いましたよね。僕も(今)友達からこの話を聞いたら、『おかしいよ』と言うと思う」と話します。
男性は被害届を提出。警察が詐欺事件として捜査を進めているといいます。
SNS型投資詐欺の被害額は約62億円
愛知県警によると、愛知県内のSNS型投資詐欺の被害額は、今年9月末時点で約62億円。すでに、去年の3倍近くとなっているといいます。
だまされる“最初の入り口”が広がっている、SNS型投資詐欺。愛知県警によると、以前はinstagramやLINEを通して、被害者が“自分から”、広告をクリックしてしまうケースが多かったといいます。
しかし、最近ではマッチングアプリやFacebook、TikTokなどが加わり、“最初の入り口”となるSNSが多様化。ダイレクトメッセージで、「友達になりませんか」「すてきな趣味ですね」など投資以外の話で犯人側から接触し、関係を築いてから投資に誘う手口が増えているといます。
警察によると被害者は男女関係なく、年齢も20代から70代とさまざま。警察では「SNSで勧誘するもうけ話は詐欺」と注意を呼びかけています。