「成長した姿を甲子園の舞台で」 全国屈指の高校生パワースラッガー 支える家族に活躍を誓う

10年ぶりに甲子園出場を決めた愛知県の豊川高校に、プロ野球のスカウトたちも注目するロシア人スラッガーがいます。温かい家族の支えと、並々ならぬ努力が実り、彼は今、一つ目の夢をつかもうとしています。
野球を通して深まるロシア人家族の絆 “野球”を知らない父が一番の応援団長に
今月3日、愛知県阿久比町。日本に来て24年になるロシア人家族のモイセエフ一家が、車に乗ってどこかに出かけました。時刻は朝6時半。子どもたちはまだ眠そうです。
到着したのは、岡崎市の野球場。10年ぶりにセンバツ出場を決めた豊川高校が甲子園に向けて練習試合を行っていました。その中心選手が、モイセエフ家の二男・ニキータ選手、高校2年生です。秋の東海大会では驚異の打率6割2分5厘。2年生になりホームランも14本と格段に増え、一躍、注目のスラッガーにまで成長しました。
試合があると必ず一家で応援に行くというモイセエフ一家。三男・アルチョームくん(9)は、ニキータ選手のことを「ホームラン大量に打つお兄ちゃん。あと優しい」と話します。
父・セルゲイさん:
「いろんな人と出会う。それも大きくて。野球はすごいなって思いました。家族自体も成長していく、仲良くなっていく」
ニキータ選手は愛知県刈谷市生まれ。親日家で黒帯の父の影響で空手少年でしたが、小学校1年生の時、兄の影響で野球を始めました。ロシアでは馴染みが薄い野球に、息子たちが夢中になっていく姿を見た父は、当初は野球の魅力がわからず認められなかったといいます。
しかし、すぐにニキータ選手の才能が開花。そして、何より日本の仲間が増えて楽しそうに過ごしている姿に、父はいつしか誰よりも応援するようになりました。当時の野球道具も、今では大切な宝物です。中でも特に思い出深いのはグローブ。何度も修理しながら使い続けていたものです。
プロ野球観戦にも何度も行くうちに、いつしかニキータ選手と家族には、大きな夢ができました。それは、甲子園に出場すること。そして、プロ野球選手になることです。