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「成長した姿を甲子園の舞台で」 全国屈指の高校生パワースラッガー 支える家族に活躍を誓う

2024年3月14日 16:05
「成長した姿を甲子園の舞台で」 全国屈指の高校生パワースラッガー 支える家族に活躍を誓う
豊川高校のニキータ・モイセエフ選手

10年ぶりに甲子園出場を決めた愛知県の豊川高校に、プロ野球のスカウトたちも注目するロシア人スラッガーがいます。温かい家族の支えと、並々ならぬ努力が実り、彼は今、一つ目の夢をつかもうとしています。

野球を通して深まるロシア人家族の絆 “野球”を知らない父が一番の応援団長に

今月3日、愛知県阿久比町。日本に来て24年になるロシア人家族のモイセエフ一家が、車に乗ってどこかに出かけました。時刻は朝6時半。子どもたちはまだ眠そうです。

到着したのは、岡崎市の野球場。10年ぶりにセンバツ出場を決めた豊川高校が甲子園に向けて練習試合を行っていました。その中心選手が、モイセエフ家の二男・ニキータ選手、高校2年生です。秋の東海大会では驚異の打率6割2分5厘。2年生になりホームランも14本と格段に増え、一躍、注目のスラッガーにまで成長しました。

試合があると必ず一家で応援に行くというモイセエフ一家。三男・アルチョームくん(9)は、ニキータ選手のことを「ホームラン大量に打つお兄ちゃん。あと優しい」と話します。

父・セルゲイさん:
「いろんな人と出会う。それも大きくて。野球はすごいなって思いました。家族自体も成長していく、仲良くなっていく」

ニキータ選手は愛知県刈谷市生まれ。親日家で黒帯の父の影響で空手少年でしたが、小学校1年生の時、兄の影響で野球を始めました。ロシアでは馴染みが薄い野球に、息子たちが夢中になっていく姿を見た父は、当初は野球の魅力がわからず認められなかったといいます。

しかし、すぐにニキータ選手の才能が開花。そして、何より日本の仲間が増えて楽しそうに過ごしている姿に、父はいつしか誰よりも応援するようになりました。当時の野球道具も、今では大切な宝物です。中でも特に思い出深いのはグローブ。何度も修理しながら使い続けていたものです。

プロ野球観戦にも何度も行くうちに、いつしかニキータ選手と家族には、大きな夢ができました。それは、甲子園に出場すること。そして、プロ野球選手になることです。

パワーの秘密は“食事”と“肉体改造” 飛距離を伸ばすため20キロ増量

甲子園、そしてその先のプロを夢見て豊川高校を選んだニキータ選手。プロを意識して木製バットで練習を行ってきました。

モイセエフ・ニキータ選手:
「自分はやっぱりプロに行きたいですし、(豊川)高校に入ったのは自分が成長してプロに行けると思ったところもありますし、プロで活躍するっていうことが目標なので」

ニキータ選手の魅力は、なんといっても飛距離! 高校入学からの2年間で全国屈指のパワースラッガーに成長しました。

実は、入学した頃は体重66キロと細身だったのですが、20キロも増量しムキムキの肉体に! その源は、なんといっても食事です。どんぶりサイズの茶碗に、山盛りのご飯をよそいます。その量、なんと990グラム! 寮生活をする2年間、ニキータ選手は毎晩この量のお米を食べてきました。

豊川高校 長谷川裕記監督:
「プロ野球選手になりたいっていう気持ちが強かった。じゃあ何をやることでプロ野球選手に近づくかといったら、身体を作ることからだと指導」

そんなニキータ選手のことを、チームメイトたちは「誰も見てないところでも本当にずっと努力していて。最上級生になっても、その努力は変わっていない」「ウエイトだったり体に対しての意識がみんなより高くて」と語ります。

バッティングの飛距離を伸ばすため、誰よりもトレーニングを行ってきたニキータ選手。この肉体こそが、全国屈指のパワースラッガーの秘訣です。

プロ野球も注目のスラッガーに成長! 夢の舞台での活躍を家族に誓う

今月3日に行われた、甲子園前の大事な練習試合。

スタンドには練習試合にも関わらずプロ野球のスカウトが5球団も視察に来ていました。視線の先にいるのはニキータ選手です。もちろん、モイセエフ一家もスタンドから試合を見守ります。

スカウトたちの前で、そして支えてくれる家族の前で、自慢のパワーを見せることができるのでしょうか。

ニキータ選手は3番センターで出場。1アウト1塁の先制チャンスで迎えた第一打席、フルスイングで特大のファールを放った後は、いい当たりを見せるもショートゴロ。しかし、50メートル6.2秒の快足で一塁はセーフとなりました。ランナーなしで迎えた第二打席では、レフト線へのツーベースヒットでチャンスメイクします。

この日は、練習試合2試合で8打数3安打の活躍。甲子園前の大事な試合をしっかり勝ちきり、家族とスカウトの前で好調をアピールしました。

試合後、久々にがんばる息子をねぎらいたいと、わずかな時間を楽しみにしていたモイセエフ一家でしたが、ニキータ選手は、次の準備があるため足早に球場を去って行きました。

モイセエフ・ニキータ選手:
「成長した姿を甲子園の舞台で。小学校から憧れた場所なんで、甲子園で野球ができる喜びを、両親にはプレーで見せたいと思います」

プロ野球からも注目される全国屈指のスラッガーに成長したニキータ選手。一つ目の夢である甲子園の舞台は、もう目前です。

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