【18隻を行政代執行】三重の海の幸に迫る危険“放置船”がもたらす3つのリスク 三重・志摩市

三重県志摩市の浜島漁港。
漁師がかごいっぱいにとってきたのはイセエビです。
さらに、今が旬、アオサノリの養殖も盛んな港町です。
しかし、この特産品にある危険が迫っていました。
その原因が…。
記者:「浜島港なんですが、何隻もの船が無秩序に並んでいます。沈んでいる船もあって、かなり年季が入っていそうです」
漁港から700メートルほど離れた入り江には、使われずに放置された船が。その数、28隻。転覆したり、完全に水中に沈んでいる船もあります。
さらに、その近くでは…。
記者:「こちら船から漏れ出た油ですかね。海面に薄い膜が張っています」
漁業関係者を最も悩ませているのが、船から漏れ出たとみられる油です。上空から見ても、海面の一部が変色しているのがわかります。
三重外湾漁協 柴原賢也さん:
「油がノリに付着した場合はどうしようもなく、製品にもならなくて、漁業者にはすごく迷惑かける」
今のところ漁への影響は出ていませんが、アオサノリやイセエビが生息する場所へ油が流れれば、漁業関係者にとっては大問題です。
三重県によると、放置された船は、漁船やプレジャーボート合わせて28隻。
10隻は所有者がわかっておらず、残りの18隻は志摩市内の男性が20年ほど前に持ち込んだものだということです。
県が撤去するよう指導していましたが、男性が亡くなったこともあり、放置されたままとなっていました。
そこで県は、行政代執行などによる撤去に踏み切りました。
14日から本格的に始まった撤去作業。一筋縄ではいかない場面も。
船をつなぐロープが絡まっていて、スムーズには進みません。
国交省のまとめによると、こうした放置船は全国で5万隻以上。漁業への影響以外にも危険があるといいます。
三重県志摩建設事務所 野呂守 所長:
「台風などで(放置船が)流出したときに、他の船にぶつかるとか岸壁にぶつかる。そういうリスクもあるので、適切に処分しないといけない」
私たちの生活や命をも脅かしかねない放置船。
三重県による撤去作業は約3か月続くということです。