イタリア人女性が愛知県の田舎町で大型バスを運転!? 「好き」を原動力にして始めた新たなチャレンジ 愛知・設楽町
愛知の田舎町で暮らすチャレンジ精神旺盛なイタリア人女性
12月1日、愛知県設楽町では、毎年恒例のクリスマスマーケットが開催され、地元の人らが作った雑貨や手作りのお菓子に、体の調子を整えてくれる施術屋さんなど、さまざまなお店が出店しました。
人口約4000人の設楽町で冬の風物詩となりつつあるこのイベントを、8年前に仲間と一緒に始めたのが、イタリア出身の女性・橋本エレナさん(46)です。
イタリア出身 橋本エレナさん(46):
「元々日本のお正月があるよね。クリスマスもヨーロッパのみんなが集まる雰囲気できればうれしいなと」
エレナさんが国際結婚を機に来日したのは2006年。夫の有大(ともひろ)さんとの間に3人の子どもが生まれ、現在は家族で設楽町に住んでいます。
夫婦で取り組んでいるのは、イタリアの伝統工芸であるモザイクアート。カラフルな大理石やガラスを使って仕上げるアートで、販売や体験教室も行っています。
夫 有大さん:
「(妻は)いろんなものに興味があって、いろんなことに挑戦していく姿は、とても尊敬できるというか、そんなところは見習いたいなと思います」
子育てにモザイクアート、そして町のイベントまで、何にでも積極的なエレナさんですが、実は今年、また新たなチャレンジを始めたのです。
「好き」がパワーの源に エレナさんの新たな挑戦
エレナさんが始めた新たなチャレンジとは…なんとバスの運転手! 2024年4月、バス会社の西三交通に入社して、設楽町の隣、新城市を走る路線バスを運転しています。
イタリア出身 橋本エレナさん(46):
「元々、約4年前にガソリンスタンドでバイトをしていて、そのときトラック運転手といっぱい知り合って、楽しいかなって」
大型車への憧れからバスの運転手に。新城の事務所では、初の女性、初の外国人ドライバーです。
西三交通 鳳来事務所 中島信一郎さん:
「たぶん無理だろうな、コミュニケーションは難しいだろうなと思っていましたが、実際会ったら明るくて、チャレンジ精神が強くて、逆にこちらが圧倒されるくらい」
エレナさんが入社して8か月。早くも会社にさまざまな変化が起きています。
1日の拘束時間が長いことや、運転手のトイレ休憩がなくて困っていると、エレナさんが会社に伝えると、その発言を機に10月から午前や午後だけの半日勤務を導入。同僚の運転手からも「(自分は)高齢者なんで半日だと楽だよね」「ライフスタイルに合わせていろいろな勤務が可能になった」と好評です。
さらに、運転手のトイレ休憩の時間を確保するために、ゆとりのあるダイヤに変更。そして極めつきは、エレナさんに憧れて、女性ドライバーがもう1人入社したこと。会社は、女性専用の休憩室も完備しました。
人手不足が叫ばれるバス業界で誕生した異色のドライバー。そのパワーの源となっているのは、単純に「好き」という気持ちだといいます。
イタリア出身 橋本エレナさん(46):
「こっちの雰囲気は好きで、運転も好きで、いろいろ教えてくれて、本当にこの仕事が好きで、楽しんでいます」
言葉や文化の壁を乗り越え、地域に溶け込み、新たな風を吹き込んだエレナさん。新しいことに挑戦し続ける姿は、地域の未来を明るく照らす希望の光となっていくのかもしれません。エレナさんの挑戦は、まだまだ続きそうです。