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早咲き桜が開花迎える 鶴舞公園でも「桜まつり」の準備着々 花見が待ち遠しい季節だけど…各地で多発する桜の老木化問題 倒木危険でまつりを中止にする町も

2025年3月10日 17:37
早咲き桜が開花迎える 鶴舞公園でも「桜まつり」の準備着々 花見が待ち遠しい季節だけど…各地で多発する桜の老木化問題 倒木危険でまつりを中止にする町も
桜の季節がもうすぐ到来!
寒さが和らぐと待ち遠しい。名古屋では早咲き桜が咲き始めています。春の便りが近づいている一方で、今年の桜まつりを中止にするところも。原因を調べると、各地で同様の問題が相次いでいました。

春の訪れまであと少し…早咲き桜は開花始まる

3月6日、名古屋市東区では、“ソメイヨシノ”より一足早く咲き始める“カワヅザクラ”の花が、わずかに開き始めていました。

「名古屋市内で一番はやく花見ができる場所」として知られる“オオカンザクラ”の並木道でも、一輪咲いているのを発見! 咲くまでもうすぐ…という色づいたつぼみもたくさんありました。

春の足音が近づく中、“ソメイヨシノ”の名所である鶴舞公園では、つぼみがかたく閉じた状態。開花まではもうしばらくかかりそうですが、園内では3月20日から始まる「桜まつり」にむけて、準備が進められていました。

花見客が入ることで桜の木の生育を妨げないよう、まつり期間中は一部のエリアが立ち入り禁止になります。この日は、お花見のできる開放エリアと立ち入り禁止エリアを分けるフェンスが設置されていました。

鶴舞公園 佐々木辰夫所長:
「サクラの下での宴会は日本の文化でもありますので、鶴舞公園ではサクラの下で宴会をしながらサクラの健康を維持していく」

春がすぐそこまで来ていますが、気になるのは桜の開花時期。

3月5日にウエザーニューズが発表した桜の開花予想によると、東海3県は平年並みかやや早い開花となりそうで、名古屋市の鶴舞公園は3月24日、三重の津偕楽公園は3月29日、岐阜県の恵那峡は少し遅くて4月2日の開花予想となっています。

各地では桜の開花に合わせてライトアップなどのイベントを計画していますが、桜の開花状況によっては期間の変更も視野に入れて準備しているところもあるようです。鶴舞公園でも、去年は開花が遅れて「桜まつり」の期間を1週間延長しましたが、今年も開花が遅れれば延長の可能性があるということです。

今年は菜の花や梅の開花が大幅に遅れたので、桜の開花も遅れるかも…と悩ましいところですが、もっと悩ましい状況になっている町がありました。

各地で起きている桜の老木化問題

三重県四日市市の海蔵川沿い。堤防には約500本の桜の木があり、名所として知られていますが、去年、桜まつりの開催中に桜の大木の根元が折れてしまったのです。

樹木医が調べたところ、多くが老木化していて倒れる可能性があるため、花見客の安全を考え、今年は桜まつりを中止にしました。

海蔵川桜まつり実行委員会 羽場誓司さん:
「先達の方々の思い考えると続けていきたいし、四日市の観光資源でもあると思う。地元としてもなるべく中止にはしたくない」

来年以降、桜まつりを再開すべく、桜並木の保全について市や県と協議を進めているということですが、四日市市の森智広市長は…。

四日市市 森智広市長:
「危険な桜を認識して伐採していくのはできるが、危険なものだけ伐採していくと桜がなくなってしまう。植え替えができませんので」

市役所でプロジェクトチームをつくり保全に向けて動いていますが、一筋縄ではいかないようです。

海蔵川沿いは500本の桜が植えられていますが、そのうち約350本が老木化。倒木の危険がある桜を切ることは可能ですが、数が多いためかなりの予算がかかります。

実は、桜の老木化は四日市だけの問題ではありません。

豊川市佐奈川でも、桜の老木化で2024年度に約50本を伐採。もともとは800本の桜が植えられていましたが、現在は600本程度になっています。

なぜ今、桜の老木化の問題が各地で起きているのでしょうか。

日本樹木医会の小林明理事によると、桜の寿命は70~80年なので、戦後の復興期(1945年~1954年)に植えたものが寿命を迎えていて、桜の老木化は全国で同時多発的に発生する可能性もあるということです。

伐採ではなく植え替えという方法もありますが、それも簡単ではありません。

実は、堤防の強度が落ちることを防ぐため、堤防の木の植え替えは法律で制限されているのです。許可される場合もありますが、「堤防の強度を維持する」ことが大前提。強度を維持したまま植え替えをするのはハードルが高く、佐奈川の桜は伐採することに。現在は切り株になっています。

桜並木は大事な観光資源。なんとか維持したいと自治体も模索しているようです。

岡崎市では、クラウドファンディングで募った約1400万円を使って、岡崎城の桜の整備を行う予定です。岐阜市では、来年度の予算に1100万円を計上して伊奈波神社の参道にある桜を整備する予定です。

花見が待ち遠しい季節。桜を楽しむだけではなく、整備や保全についても考えなければいけないときがきているのかもしれません。

最終更新日:2025年3月10日 17:37
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