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名物秘書として活躍するオオサンショウウオ  今月いっぱいでクビの危機!? 三重・名張市

2024年6月19日 13:47
名物秘書として活躍するオオサンショウウオ  今月いっぱいでクビの危機!? 三重・名張市
秘書として活躍するオオサンショウウオ

優秀な秘書が今月いっぱいでクビになるかもしれないピンチに直面しています。その秘書とは、人ではなく“ある生き物”でした…。

在来種の保護だけじゃない! 交雑種も生物多様性の啓発活動に貢献

三重県名張市にある郷土資料館のプールにいたのは、つぶらな瞳にヌルっとした大きな体が特徴の世界最大級の両生類、オオサンショウウオです。その数、なんと約150匹!

プールの奥に密集して団子状態になっていますが、オオサンショウウオといえば国の特別天然記念物に指定されている貴重な生き物のはず…。

名張市教育委員会の山﨑さんによると、ここにいるのは全部、在来種とチュウゴクオオサンショウウオとの交雑種だということです。1970年代、中国から食用として輸入されたチュウゴクオオサンショウウオが国内で野生化。もともと生息していた在来種と自然界で交配し、生まれたのが交雑種です。見た目はそっくりですが、特別天然記念物に指定されているのは在来種だけ。

名張市教育委員会 山﨑雅樹さん:
「(交雑種は)体格が在来種より大きくて獰猛な性格なので、そのままにしておくとエサ取りで在来種の方が負けてしまう」

名張市は貴重な生き物を守るため、10年ほど前から保護活動を実施。在来種は元いた場所に残し、交雑種はプールに隔離してきました。保護された交雑種は、イベントで展示されるなどして、生物多様性の啓発に一役買っています。

中には大出世を遂げたオオサンショウウオも…!

市役所の秘書として活躍するオオサンショウウオが今月でクビに…!?

名張市役所で子どもたちがくぎ付けになっていたのは、秘書室の前に置かれた水槽。水の中ではオオサンショウウオが気持ちよさそうに泳いでいました。

実はこのオオサンショウウオ、市役所で働く秘書。秘書室の一員として、お客さんのお出迎えをしているのです。名前は弥助(やすけ)。去年5月に任命され、名刺もちゃんと持っています。

のんびり過ごしているだけにも見えますが、地元の自然の豊かさを伝える、大事なお仕事中。子どもたちも「顔がかわいらしかった」「きれいな川にすんでいて、こんな見た目しているのでびっくりした」と興味津々です!

名物秘書として活躍する弥助ですが、今月いっぱいでクビになるかもしれないピンチに直面しているのです。まさか、のんびりしすぎて勤務態度に問題が…?

名張市教育委員会 川内彬宏さん:
「もしかしたら私よりも偉いかもしれないので、評価するのは恐縮なんですが、非常に愛想良くやっていると思いますけど…」

働きぶりは文句なし。では、一体なぜ?

名張市教育委員会 川内彬宏さん:
「特定外来生物に在来種以外のオオサンショウウオが指定されます。生きたまま移動させる、あるいは飼育することがそもそも禁止になるので」

特定外来生物とは、外来種の中でも、生態系や人の命、農林水産業に被害を及ぼす生き物のこと。アユを食い荒らすコクチバスなどが指定されています。飼育が禁じられているだけでなく、駆除の対象となることもあるのです。

在来種以外のオオサンショウウオが特定外来生物に指定されるのは7月1日。弥助の秘書生活は、これでおしまいなのでしょうか?

上司である名張市の北川裕之市長に聞いてみると「私に会いに来るのではなく、弥助に会いに来る人がいるほど。観光のコンテンツとしても有益で存在価値が大変あります。ぜひこのまま職務を続けられるように、環境省へ申請します」ということで、今後も秘書として活動が続けられそうです。

名張市は、プールに隔離している交雑種も殺処分する予定はなく、環境省の許可を受け、飼育を継続する方針です。

在来種以外のオオサンショウウオは7月から特定外来生物に指定されますが、在来種・外来種・交雑種を見た目だけで区別するのは困難です。外来種や交雑種は攻撃性があって噛まれる危険性があることや、在来種は天然記念物なので捕まえたら処罰の可能性もあることから、名張市の担当者は「オオサンショウウオらしき生物を見つけても触らないで」と呼びかけています。

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