いまやタイより値段が高いイカ 「庶民の味でない」その理由とは
刺し身や寿司などでおなじみ 日本人が大好きな「イカ」の価格が高騰しています。いまやタイよりも高いというイカ。その理由を探りました。
越前町の漁港から、漁師たちが向かったのは浅瀬に仕掛けた小型の定置網。
狙うのは、今が旬のヤリイカです。
県内で毎年25トンほど水揚げされるヤリイカ。
越前町では、1月から4月にかけて、繁殖のため浅瀬に集まるヤリイカを定置網で獲っています。
■記者
「ペットボトルほどの大きさのヤリイカが次々と水揚げされる 魚層も炭で真っ黒」
この日は40キロほどの水揚げがあり、生かした状態で市場へ出荷しました。
■越前町漁協 玉川支部 山本一彦 組合長
]「きょうは悪くない 波も良いし 入るときは100キロ、200キロと入る」
ところが、イカの価格が近年高騰しているのです。
県内で水揚げされるヤリイカなど4種類のイカの、1キロあたりの平均価格は、5年前の2倍近くに。今や高級魚といわれるマダイよりも高くなっています。
■山本一彦 組合長
「高いとは思う ちょっといけば2、3万円になる 今のこの時間で 良ければ10万円ぐらいにはなる」
店内のいけすから出したイカを新鮮な活け造りで提供している福井市内の飲食店です。
■記者
「さばきたてならではの透明さ、絹のように透き通っている コリコリとした食感の後に甘みが口いっぱいに広がる」
看板メニューは活け造りですが、活イカの仕入れ値は以前の2倍近くになっています。
■和びさびTONYA 見延喜史 店長
「めちゃめちゃ高くなっている。しんどい。活イカはギリギリ。利益を出せるかと言えばなかなか出せない状態で、居酒屋で定番だったイカ焼きなんて、どこも無くなってきてる なかなか提供できない商品 貴重な食材になってきている」
市場で仲買人から話を聞いてみますと。
■仲買人
「イカでお金儲けはなかなかできない時代」
「庶民の味ではない 庶民の食べ物ではないね」
今や高級食材となってしまったイカ。どうしてここまで価格が高騰しているのか、仲卸業者に取材してみました。
■合同水産株式会社 津田博美専務
「近海のスルメイカが、北海道も、福井県沖もほとんど、昔に比べて1割ぐらいしか獲れていない 要するにスルメイカが少ないから、他のイカを集めるのも争奪戦」
スルメイカの不漁と、それに伴うイカの価格高騰。
日本人が大好きなイカはこれからも食卓に並ぶのでしょうか。
水産庁によりますと、今後もスルメイカの不漁が続くと予想されています。
*不漁の要因として①海水温上昇によって産卵できる海域が縮小している②海水温の変化により産卵のピークが10月から11月以降に遅れ、イカの幼生期に、水温が低く厳しい環境の影響を受けて、生き残れないといったことが考えられる