【特集】ベニズワイガニを新名物に 価格は「越前がに」の約1/5、年間通して水揚げ 課題は認知度の低さ 越前町で1隻のみ操業
冬の味覚の王者「越前がに漁」の解禁まで1か月を切りました。新幹線が開業して初めてのカニシーズンとなり、より多くの人に福井が誇るブランドを味わって欲しいですよね。こうした中、越前町ではこの時期も水揚げされている別のカニを新たな名物としてブランド化しようという動きがみられます。
美しく甘みたっぷりの“カニ刺し”に、ミソの香りが香ばしい“焼きガニ”。そして、カニ本来の味わいを堪能できる“ゆでガニ”。
■リポート 櫻井幹大記者
「身がぎっしりと詰まっていて、ボリュームがあります。カニの甘みのあとに、うまみが口いっぱいに広がってとてもおいしいです」
こちらのカニ。福井が誇る冬の味覚の王者「越前がに」ではなく、山陰などで多く水揚げされる「ベニズワイガニ」です。
■旅籠 おけや 木村周司さん
「出回ってる量は多くはないけど、ズワイガニに比べると割とリーズナブルで、夏の間はちょっと入らないんですけど、割と長い期間手に入るカニ」
県内では、年間およそ80トン水揚げされていて、漁期は9月から6月までの10か月間。値段もズワイガニのおよそ5分の1と、リーズナブルなのが特徴です。しかし、県内では取り扱いも少なく、まだまだ認知度が低いのが現状です。
県内でベニズワイガニ漁をしている漁船は、越前町漁協所属の「大喜丸」のみです。
■リポート 櫻井幹大記者
「魚槽には生きたベニズワイガニが何層にも積み重なって入っています」
沖合80キロの地点で漁を終え、この日も乗組員が港での陸揚げ作業に追われていました。
■ベニズワイガニ漁船 大喜丸 山下富士夫船長
「(Q.今は何をしてるんですか?)中には悪いカニが混じるので、悪いカニは弾いて、良いカニだけ選別しています」
質の悪いベニズワイガニを市場に出さないため、1匹ずつ甲羅の幅や形、身の詰まりなどを選別し、基準をクリアしたものには専用のタグを付ける「越前がに」顔負けの徹底した品質管理に取り組んでいます。
このベニズワイガニを新たな観光資源にしようと、この日は調理方法の講習会や試食会が開かれました。
■町内の民宿関係者
「おいしい」
「最高。身が少ないイメージだった。びっくりしました。魔法にかかったみたい。観念変わりました。ぜひ取り扱う」
長年、越前ガニを取り扱っている地元の人たちも納得するおいしさでした。
■ベニズワイガニ漁船 大喜丸 山下富士夫船長
「すごく良いものだけ水揚げしている自信があるので、これを分かってもらいたいという思いで、ブランド化に取り組んでいる。日本全国、誰でも知ってるカニになれば良いなと。すごくしっかりした味わいのあるカニなので、皆さんにおいしく食べて欲しい」
ほぼ1年を通して、お得に味わえるベニズワイガニ。カニの町の「越前がに」に続く、新たな名物となることが期待されます。