【北陸新幹線】どうなる敦賀から西の延伸 京都が懸念する地下水への影響 専門家の見解は、財源問題も問う
新幹線開業から1年となるのを機に、これまでの成果とこれからの課題を探るシリーズ。停滞感も漂う「敦賀から西の延伸」について考えます。カギを握るのは沿線の「京都の理解」です。
■京都市 松井孝治市長
「酒造りだけではなく、京料理や染色など京都の生活文化、産業文化を支えてきた水に対する懸念を申し上げました」
敦賀から西への延伸に反発している京都府や京都市。その理由の1つが「地下水への影響」です。
こうした声を受けて、延伸ルートを選ぶ際にも3つあった案の中から、地下水への影響が最も大きいとされる東西案が除かれました。
■与党整備委員会 西田昌司委員長
「国の方から情報を説明させていただきたい。その機会を作るために、知事と市長に協力をもらいたい」
与党の整備委員会は、地下水への影響に対する不安を払拭するため、科学的根拠に基づいた情報発信が必要としていて、国土交通省などが年内に説明会を開催する予定です。
しかし、地下水に関する京都の反発には矛盾があると指摘する声も。
■京都大学 藤井聡教授
「今回の工法よりも、もっと激しく地下水に悪影響を及ぼすことが明らかな事業を、京都市はこれまでも何度もしてきている」
新幹線など国土計画の専門家で元内閣官房参与の京都大学の藤井聡教授。矛盾しているというのは、京都市が進めようとしている地下トンネル計画です。
■京都大学 藤井聡教授
「京都市長自身が、南北案と類似した道路事業を堀川通りで行うことを政府に要求している実績がある。それが京都市長として問題ないと考えているのであれば、南北案というものも大きな問題はない」
地下水の問題に加えて、京都府や市が懸念する理由は他にもあります。その1つがお金の問題です。
新幹線の建設費の内訳は、まず施設使用料にあたるJRからの貸付料を充て、それ以外を国がその3分の2、地方が3分の1負担しています。ただ、すでに新幹線が通っている京都としては、莫大な建設費を負担してまで延伸を望んでいないのが現状です。
与党の整備委員会では、地方負担を減らすことを前提に、本格的な財源の議論を始めるとしていますが、3兆円を超える巨額の建設費をどのように工面するかが大きなポイントです。