シカやクマに鋭い目光らせる 獣害対策オオカミ型ロボットが自動走行
迫力ある顔つきをしたオオカミ型ロボット。獣害対策用に開発されたものですが新たな能力が加わりました。
それは自動運転システム。人工衛星を活用することで、人の手を介さずに、指定されたエリアの監視を続けます。
獲物をにらみつける赤く光る鋭い目。それに。
「ワオ――ン」
迫力満点の遠吠え。
ロボットの名前は「スーパーモンスターウルフ ウルフカッター」。オオカミそっくりの見た目でシカなどは逃げていきます。
獣害対策の切り札として、7年前から、仁愛大学をはじめ県外の企業や県などが共同で研究開発を進めていて、これまでにスイセン畑などで実証実験が行われてきました。
しかし課題が浮上しました。
仁愛大学人間学部 安彦智史准教授
「元々はこの辺りにカメラがあって、大学から遠隔操作をして動かしていたが、ネットワークが不安定だったりした」
こうした中、研究チームに新たに東京大学が加わり、ロボットがグレードアップしました。
東京大学大学院 農学生命科学研究科 海津 裕准教授
「この2つのGPSアンテナを使って、ウルフの位置と方向を調べる その結果をコンピューターで処理して、自分の位置と方向を調べて、ルート通りに走る 燃料がガソリンになっていて最大8時間は稼働できる」
新たなシステムでは、人工衛星との通信によってロボットの詳細な位置を把握。その情報を元に、あらかじめ決めたルートでの自動運転を可能にしました。
9月からは南越前町の今庄スキー場での任務がスタート。シカの異常発生に加えて、この夏はクマの出没も確認され、管理会社では対策に頭を悩ませていました。
今庄スキー場 高嶋清智支配人
「これは鹿のフン キャンプしている利用客の近くまで出没するということで、非常に迷惑というか、出てきてほしくない 刈り込んだ後の新しく出てきた芽を食べる 是非効果を上げて獣よけになることが実証できるといい」
安彦智史准教授
「福井では獣害被害がいろいろな所で起こっている そういった所でなるべく労力をかけずに獣を追い払って、自分が守りたいものを守れる そういった研究につなげたい」
進化を続ける「スーパーモンスターウルフ」。シカやクマなどから私たちの生活を守るため、きょうも鋭い目を光らせます。