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「通常ありえない状況」 被災地派遣の医療スタッフ 情報把握の大切さ訴える

2024年1月10日 17:43
「通常ありえない状況」 被災地派遣の医療スタッフ 情報把握の大切さ訴える
輪島市で情報収集にあたった医療スタッフ(提供・福井赤十字病院)

日本赤十字社福井県支部は、能登半島地震発災の翌日から医師や看護師を含む救護班を現地に派遣しました。発災直後に現地に入った医療スタッフが、電波状況の悪さや高齢者の多さなど現地の状況を語り、情報把握が重要だと振り返りました。(1月10日)


第1班として派遣された医療スタッフは、輪島市で特別養護老人ホームの被災状況や入所者の安否確認など情報収集にあたりました。

医師は、現地は十分な医療を提供できる状況ではなかったと語ります。

■福井赤十字病院 総合診療科部 山岸利暢医師
「通常ありえないような状況が施設でも起こっていた。エントランスホールに患者さんのベッドが敷き詰められて、本来診るべき所じゃない所で診ている状況」

施設は停電や断水している所も多く、救護班は酸素の予備など必要なものを確認しながら複数の施設を回りました。

看護師の福田清美さんは、十分な医療ができない状況に葛藤があったと振り返りました。

■福井赤十字病院 看護部 福田清美師長
「状況を聞いただけで帰らないといけないというのがすごく心苦しくて、支援がありますのでそれまで頑張ってくださいと話してきた。暗い中で生活している人を見ると何かもっとできることがあったのではないかと思う」

山岸医師は発災直後の段階では、医療体制が提供できるかどうか、速やかな情報収集が重要だと実感したといいます。

■山岸医師
「現場での医療ニーズを確認して医療を提供するという心づもりで行ったが、実際はそこまで到達できていなくて、必要な物資やライフラインが届いていない状況。情報を早く把握して必要なニーズを確認して迅速に届ける。これが大事だと感じた」

また断水が続く中で今後は避難所での衛生面が課題になると指摘します。

■山岸医師
「感染症もまん延してくるだろうし、医療のニーズは高まってくると思う。避難所などの医療のニーズを把握して、それに対して必要な医療を届けていくのが大事」

日本赤十字社福井県支部では現在も8名のスタッフが現地で救護にあたっているほか、福井赤十字病院は能登町から2名の患者を受け入れているということです。

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