【特集】なぜ下がらないコメの値段 茶わん32億杯分が行方不明に 背景には買い付け競争の激化 政府は"備蓄米"放出へ
高値が続くコメを巡って、政府は備蓄米を放出する準備を進めています。コメの供給量が増えることで店頭価格の値下がりも期待される中、今後の影響を懸念する声も聞かれます。
永平寺町の食品スーパーです。売り場にはさまざまな銘柄のコメが並んでいますが、販売価格は県内産の銘柄で前の年と比べて最大で6割アップしています。
■ハニー中吉 中村泰啓専務
「価格が安くなる話は届いていない。むしろもしかしたら、これからひっ迫して相場が上がるかもしれないという話も聞いている」
去年の夏に各地のスーパーから姿を消した主食のコメ。新米の入荷とともに品薄状態は解消された一方で、今も高値が続いています。
なぜコメの値段が下がらないのでしょうか。
■さんさん池見 大嶋朋裕取締役
「これですべてになるが、例年よりも3分の2しか残っていない」
コメどころの坂井市内の農業法人ではある異変が。
■さんさん池見 大嶋朋裕取締役
「注文がひどかったときは1日1パレット(1.2トン)出荷した時もあった。ここでコメの注文を制限せずに受注してしまうと、3か月持つか持たないか」
この法人が手掛ける個人向けのネット販売には今シーズン、関東などから新規の注文が相次ぎ、このほどコシヒカリなど一部の銘柄のオンラインでの販売を見合わせました。
全国の集荷業者による買い付け競争が激しさを増し、業者が客を装って買い付けしているおそれもあるため、直売所でも地元の客を優先して購入制限を設けながら販売しています。
■客とのやりとり
「今残っているコメはハナエチゼンとアキサカリしかない。(早生の)ハナエチゼンはまだ残っているコメだけど、今年は早く出てしまって」
■客
「どこに行ってもない。どこに消えたかわからないがない」
■客
「めちゃくちゃ値段が高いところは高い。出さない、多分。値段を上げようとしている」
農林水産省によると、去年の全国のコメの生産量は前の年より18万トン増える見込みなのに対し、市場に出回っている量は逆に21万トン少なく、茶わん32億杯分のコメが行方不明に。
これが価格高騰を招く要因となっているとして、農林水産省は不作や災害に備えて政府が保有している備蓄米を放出することを決めました。
■さんさん池見 大嶋朋裕取締役
「生産者としても食べてもらわないと消費が上がっていかない。コメ離れが一番心配なので、備蓄米の放出はすごくいいこと」