年賀状で大忙しの印刷会社 来年秋のはがき・手紙値上げの影響を懸念 郵便離れ進む 福岡
総務省は早ければ来年の秋から、はがきや手紙の郵便料金を値上げする方針を示しました。福岡の街からは、早くも次の年賀状シーズンへの懸念の声が聞かれました。
福岡市中央区の印刷会社では、年賀状のプリントがピークを迎えています。
■阿部まみフィールドキャスター
「こちらは来年の干支、辰が書かれた年賀はがきです。1つ1つにこだわりがあって素敵なデザインですね。」
来年の干支、辰が描かれた1000種類のデザインの中から、こだわりのハガキを見つけられます。そうした中、飛び込んで来たはがきの大幅な“値上げの方針”について懸念を示しました。
■西日本ビジネス印刷・園田 慶一会長
「かつてない値上げ幅ですので、われわれもそうだし、郵便局のはがきを使うお客様もたぶんショックだと思うんですよね。」
こちらの会社では1枚63円の年賀ハガキを毎年およそ16万枚、1000万円分を仕入れていますが、同じ枚数仕入れようとすると、来年はおよそ350万円値上がりする計算です。
創業から48年、ここまで大きな値上げは初めてだといいます。
18日(きのう)、総務省が審議会に対し提案した値上げ案では、はがきは1枚63円から85円、25グラムまでの手紙は84円から110円で、早ければ来年の秋にも値上げされます。
消費税率の引き上げを除いての値上げは手紙は30年ぶり、はがきは7年ぶりです。こうした値上げの背景には、厳しい“郵便離れ”という現状があります。
デジタル化や人口減少の影響から、国内郵便はここ20年でほぼ半減しています。一方で、配達にかかる人件費やガソリン代を含むコストが大幅に上がり、昨年度は、郵政民営化後初の赤字となりました。
今年度は、919億円の赤字が見込まれているということです。
■40代
「いろいろ上がっているので、それも上がっちゃうのは痛いかもしれないですね、でも仕方ないのかなとも思います。」
■70代
「懸賞でずっと出しているんですよ。毎月、63円のはがきを30枚は使いますね。楽しみでしていたのですが、もうやめようかと思って。(昔は)はがき5円というのがあったな。」
総務省の審議会で出された見通しによりますと、値上げすることで再来年度には黒字になるものの、次の年度からは再び赤字に転落するということです。“郵便離れ”が進む中、抜本的な改革が求められています。
郵便事業の厳しい現状があるということですが、郵便ポストの利用状況について日本郵便のデータによりますと、全国には17万5000余りの郵便ポストがありますが、およそ4分の1のポストは、1か月の投かん量がわずか30通以下となっています。
つまり、4本に1本のポストは1日あたり1通以下しか投かんされていない状況だということです。