【密着】コウノトリのヒナに「足環」を装着 電柱の上の巨大な巣 親鳥が離れた間に作業 1羽だけ育ったヒナを地域で見守る 佐賀
幸せを運ぶ鳥と言われる国の天然記念物、コウノトリのヒナが4月、佐賀県白石町で誕生しました。去年は九州で初めて巣立ちが確認されていて、ことしもヒナに個体識別のための「足環(あしわ)」が取り付けられました。
■児玉悠一朗記者
「白石町の田んぼ道を、作業服を着た人たちが続々と歩いています。その先にあるのは、大きな鳥の巣です。」
7日、佐賀県白石町で行われたのは、コウノトリのヒナに個体を識別するための足環を装着する作業です。
白石町では4月、コウノトリのつがいが電柱の上に巣をつくり4羽のヒナが誕生しましたが、落下するなどして1羽だけが育ちました。
去年は白石町内の別の場所で、九州で初めて2羽の巣立ちが確認されています。うち1羽が白石町内で目撃されているということです。
親鳥は2年前から白石町に飛来しているコウノトリで、徳島県と兵庫県で生まれたつがいです。
湿地に暮らすコウノトリは、エサとなるカエルやヤゴなど水辺に生きる動物を求めて、レンコン畑など水場の多い白石町に定着しているとみられています。
■しろいしコウノトリの会・副島則子さん
「緊張する。こっちがドキドキ。」
親鳥が飛来した当初から見守ってきた「しろいしコウノトリの会」の副島さんも、心配そうに作業を見つめていました。
■副島さん
「去年もずっと、大きくなるまで行ったり来たりして。写真を撮って、東京の友達とかに 動画を発信していた。」
兵庫県の研究施設「コウノトリの郷公園」によりますと、野生のコウノトリは1971年に絶滅しました。その後、人工繁殖に取り組み、現在は野外におよそ370羽のコウノトリが生息しています。
今回取り付ける足環は、個体の識別や生態を調べるのに用いられます。親鳥が巣を離れている隙に、ヒナを網で捕獲します。足環を装着して体の大きさを測ったり、性別を判定するために羽や血液を採取したりしました。
■副島さん
「おとなしくてびっくりしました。」
ヒナは生後43日と推定され、体重はおよそ3.5キロでした。獣医師によりますと、生育は順調だということです。
■副島さん
「無事に済んで良かったです。無事に育って、第2号の巣立ちも見届けたいと思っています。」
■白石町 生涯学習課・米田実さん
「住民の皆さんにも貴重な鳥がいることを知っていただいて、地域全体で鳥に対する興味と保護への関心を高めていけたらと思います。」
捕獲からおよそ30分後、ヒナを無事、巣に帰すと親鳥も戻ってきました。白石町で生まれたヒナは多くの人に見守られ、6月末ごろ巣立つということです。