特集「キャッチ」子どもの本の店「エルマー」絵本で救われた店主が迎える温かな居場所 福岡
手に取った人の心に寄り添ってくれる絵本。そんな絵本と子どもが大好きな、ある女性の物語です。
ここは福岡県春日市にある、子どもの本専門店、エルマーです。
■前園敦子さん
「いない、いない、ばぁ。」
店主の前園敦子さん(77)です。ことしで店を開いて35年になります。店内には、絵本から児童書までおよそ3500冊がそろっています。この時期、本棚を彩るのはクリスマスの絵本です。前園さんおすすめの1冊は「サンタおじさんのいねむり」という絵本です。
■前園さん
「クリスマスイブの時に動物たちが出てきて、サンタさんが眠っているのを見つけたの。これはサンタの代わりに僕たちがくばってあげようってなって。みんながくばり終えた後、ここね。くばっておきましたよって。否定じゃなく。批判してないんですよ。くばっておきましたよって。」
この絵本が初めて出版されたのは1969年です。親から子へ読み継がれる息の長い作品を、前園さんは大切にしています。これまで前園さんは、数え切れないほどの絵本や児童書に出合ってきました。
前園さんの確かな目利きを頼って、佐賀や熊本など県外からもお客さんがやってきます。中でも一番多いのは、乳幼児を育てるお母さんです。この日、7か月の赤ちゃんを持つお母さんが絵本を探しにやって来ました。
■お母さん
「寝かしつけの時に読む本と、面白い感じの。」
前園さんが紹介したのは、眠る前のお母さんとの温かな時間を描いた絵本「ぷくちゃんのねんねんぽっぽ」です。
■前園さん
「これは保育園の先生が、お昼寝の時に必ず読むんだって。」
そして、こんなアドバイスも贈ります。
■前園さん
「寝かしつけの本というのではなくて、優しくなるような本を読んであげた方が心がポッとするじゃないですか。そういうのを読んであげたらいいと思うの。」
お客さんが来ると、その場に居合わせた人たちを巻き込んで、読み聞かせや、わらべうたが急に始まる「静かじゃない」本屋さんです。
■前園さん
「タッチ、タッチ、タッチッチ。」