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初代「門司駅」遺構 保存方法をめぐり議論激しく 調査は一部か全部か 北九州市「億単位に」

2024年5月16日 18:49
初代「門司駅」遺構 保存方法をめぐり議論激しく 調査は一部か全部か 北九州市「億単位に」
激しい議論に

北九州市の初代「門司駅」の遺構を巡り、市と議会の議論が再び激しくなっています。適切な調査を求める議会に対して市は16日、調査の内容を示しましたが、一部の議員から反発の声が上がりました。

16日、北九州市議会で開かれた初代門司駅遺構についての委員会。市が示した今後の方針に対し、市議が強く反論しました。

■ハートフル北九州・森 結実子市議
「大変低レベルな試掘であるとしか言いようがありません。本当に有識者入れてきちんと調査をしてください。」

門司区の複合公共施設の建設予定地で、去年3月に発掘された遺構。明治時代に開業した初代「門司駅」の機関車庫の基礎部分などが出土したとみられています。

議論が繰り広げられているのは、その保存方法を巡ってです。

北九州市が最初に示したのは、遺構の一部を移築し別の場所に保存する方針です。

それに対して一部の議員が反発し、3月の議会で移築はせずに適切な調査をし、記録によって保存する案が可決されました。

なぜ、保存方法を巡ってここまで意見が分かれているのでしょうか。

専門家や市民団体などは歴史的な価値が高いとして現地での全面保存を求めています。その価値を見極めるためにも建設予定地全体で調査を実施する必要があると主張し、一部の市議や専門家は調査が不十分だとして反発しているのです。

■九州大学・福島准教授
「試掘はこの辺でもやったわけです、去年。遺構がないと市は判断した。専門家から言わせればあるんです。とにかくこの黄色のラインの中は全部、本発掘調査をしないといけない。」

ことし3月の議会でさらに調査することが決まったことを受け16日、北九州市は調査の範囲を示しました。

その範囲は770平方メートルで、予算はおよそ3000万円です。これまでの発掘調査を含めても全体の2割程度の広さで、市議からは異論が相次ぎました。

■ハートフル北九州・森 結実子市議
「私たちの動議はきちんとした調査、そして記録保存を求めています。 こんないい加減なことをして、おまけにお金を使ってやっているのは遺憾でしかないです。この発掘調査で終わりにするというのは、相当な問題が残されていると思っています。その覚悟はできていますか。」

■共産・永井 佑市議
「有識者の見解と市の見解がずれているのが現状ですが、そこがずれたまま押し通していいものなんですか。」

■市の担当者
「仮にこのエリアまで全部調査をやるとなった時には、おそらく億単位の負担です。どこかで線を引かないといけない。」

ユネスコの諮問機関である日本イコモスの専門家は、文化遺産が危機に陥っている場合に出される「ヘリテージ・アラート」を出すようにイコモス本部に求める準備を進めていることを明らかにしました。

北九州市は追加の発掘調査を行うための費用について、6月の議会で予算案を提出する方針です。