博多ストーカー殺人 別の傷害事件をきっかけに包丁2本を持ち歩き 1本を殺人事件に使用と説明 福岡地裁
去年1月、JR博多駅近くで元交際相手の女性を包丁で刺し殺したとされる“ストーカー殺人”事件の被告の男が5日、別の傷害事件の初公判で法廷に姿を見せました。裁判の中で寺内被告側は、この傷害事件がきっかけで、護身用として包丁を持ち歩くようになったと主張しました。
SNSにおどけた様子を投稿していた、寺内進被告(32)。去年1月、福岡市のJR博多駅近くで、元交際相手の川野美樹さん(当時38)を待ち伏せし、首や胸などを包丁で何度も刺して殺害したなどの罪に問われています。
寺内被告は5日午後、福岡地裁で行われた別の傷害事件の初公判で、法廷に姿を見せました。おととし8月、福岡市博多区上川端町の路上で、沖縄から訪れていた当時40歳の男性の顔を何度も殴り、顔面の骨を折るケガを負わせた罪に問われています。男性は全治8か月の重傷でした。
起訴内容について問われた寺内被告は「こぶしでは殴っていません」と、起訴内容を一部否認しました。
検察は冒頭陳述で、被害者の男性について、寺内被告が川野さんに暴力を振るう様子を目撃し、警察に通報しようとしていたところ、「通報しとるやないか!」と叫ぶ寺内被告から、こぶしで殴られたと指摘しました。
一方、弁護側の主張では、寺内被告は当時、酒に酔ってしゃがみ込んだ川野さんを被害者の男性が連れ去ろうとし、自分にも危害を加えられると思い込み、川野さんと自分を守るために暴行に及んだとしています。
また、この事件をきっかけに仕返しを恐れるようになった寺内被告は、護身用として包丁2本を持ち歩くようになり、そのうちの1本が、川野さんが殺害された事件で使用されたものだと説明しました。
寺内被告は、川野さんを刺し殺した罪で起訴された後の去年2月、FBSの記者との面会に応じた際にも、護身用として持ち歩いていた包丁で川野さんを刺したと話していました。
その一方で「気が狂ったようになった。記憶ないです。(川野さんを)刺すことになったことが信じられない」と語っていました。
殺人事件の前には、別れ話をめぐるトラブルから、寺内被告にはストーカー規制法に基づく「禁止命令」を出されていました。
ストーカー殺人事件については、傷害事件とは別に裁判員裁判が行われる予定です。