在宅医療・介護の「カスハラ防止」訴え 従事者の4割近くが経験 県が開設した相談窓口の活用を 福岡
12月は「職場のハラスメント撲滅月間」です。福岡市で25日、在宅医療や介護現場でのカスタマーハラスメントの防止を呼びかけるキャンペーンが行われました。
■呼びかけ
「在宅医療・在宅介護の暴力・ハラスメント対策に、ご協力をお願いします。」
25日午前、福岡市博多区のJR博多駅前広場では、医療や介護の従事者などおよそ20人が、カスタマーハラスメント防止を呼びかけるチラシを配りました。
福岡県が2023年3月に行った調査では、在宅での医療や介護に従事する人のうち38.5%が、サービスの利用者やその家族から「暴力やハラスメントを受けたことがある」と回答しています。
■福岡県理学療法士会・松崎哲治 副会長
「現場で在宅に行くと、患者さん・家族・担当者が密室の中で1対1になる。ハラスメントが少しでも減るようにと。」
福岡県は2024年6月から、在宅での医療や介護の従事者向けに専用の相談窓口を設けています。県の担当者は「ひとりで抱え込まずに、早めに相談してほしい」と話しています。
福岡県内で実際に起きた例です。1つ目は、訪問看護師の女性が受けたカスタマーハラスメントです。脳腫瘍の手術を受け、体が動かせない60代の男性の訪問看護で、男性の娘から「自宅の浴槽で定期的に入浴させたい」と言われ、危険な状態での支援を求められました。
男性の娘は看護師の資格を持っていて「私の言う通りに動いてください」という一方的な態度だったということです。
次に、リハビリスタッフの女性が受けたハラスメントです。半身マヒで車いす生活を送る50代の男性から、主治医の指示に反して外出させてほしいと求められました。
主治医の許可がないため断ると、後日訪問した際に「お前が来るな、出て行け」とののしられ、ほうきを振り回されることもあったということです。
仕事に対する責任感から、ハラスメント被害を言いだしづらい方もいらっしゃると思いますが、1人で抱え込まず、専門の窓口などに相談することが大切です。
福岡県が開設している「福岡県在宅医療・介護職員カスハラ相談センター」の電話番号は、0120-111-309です。平日午前9時~午後7時に相談を受け付けています。年内は12月27日が最後で、年明けは1月6日からです。