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焼却炉での作業中にアスベストを吸い込み肺がんに 北九州市の男性と企業側の和解が成立「浴び放題だった」福岡地裁小倉支部

2024年3月12日 20:29
焼却炉での作業中にアスベストを吸い込み肺がんに 北九州市の男性と企業側の和解が成立「浴び放題だった」福岡地裁小倉支部
原告の男性(左)と弁護士が会見

北九州市の男性が、職場でアスベスト(石綿)を吸い込み健康被害を受けたとして、雇用主側に損害賠償を求めた裁判で12日、和解が成立しました。

原告側の弁護士によりますと、北九州市八幡西区の内藤洋さん(74)は1970年から2015年にかけて、北九州市八幡西区の黒崎播磨の前身、黒崎窯業の子会社や山口県下関市の磯部鉄工で勤務していました。

この時、製鉄所の工業炉や発電所の焼却炉の設計や解体工事などの作業中に飛散したアスベストを吸い込んだことで、2013年に肺がんを発症したとして2017年に労災認定を受けました。

内藤さんは、雇用主である黒崎播磨や磯部鉄工の安全配慮義務違反によって健康被害がもたらされたとして、2020年、2社に対し、慰謝料などとしてあわせて3300万円の損害賠償を求めて福岡地裁小倉支部に提訴しました。

原告側の弁護士によりますと、被告側2社は棄却を求めていましたが、結審した2023年末の裁判後、2024年1月、裁判所から和解の提案があり、12日に和解が成立したということです。

和解の内容は明らかにされていません。

原告弁護団は「築炉の業務について、雇用主の責任を追及して和解による解決に至った例は数が少なく、良い結果となったと考えています」と話しています。

原告の内藤さんは「長かったが、亡くなった妻に良い報告ができると思う。人間使い捨ての時代でアスベストを使い放題、浴び放題だった。同じ様に苦しむ人にとって救済の道しるべになれば」と話しました。