スズメバチの被害相次ぐ 福岡第一高校の駅伝部員23人が刺される 専門家に聞く対処法
9月から10月にかけて、屋外にいた人がスズメバチに刺される被害が相次いでいます。外出の機会が増える今の時期は凶暴で危険だというスズメバチから身を守るには、どうすれば良いのか取材しました。
9月23日、大分県九重町の飯田高原で、翌日の駅伝大会のコースを試走していた男子高校生23人がスズメバチに刺されました。
刺された人のうち15人は、福岡市南区の福岡第一高校駅伝部の部員で、学校によりますと、長期間、腫れが引かなかった部員もいました。
町の職員がコースのそばでスズメバチのすみかを探したところ、巣は木の幹の内側にあり、細い隙間から蜂が出入りしていました。気性の荒いキイロスズメバチとみられています。
結局、九州各県から18校が参加する予定だった翌日の駅伝大会は、中止されました。
また、10月8日には岐阜県で登山道を走っていたランナー42人がスズメバチに刺されています。
この時期、各地でスズメバチの被害が相次いでいます。
取材班が、10月12日に訪ねた熊本県玉名市の果樹園でも、人がハチに襲われる被害がありました。
■中村柑橘園・中村清和さん
「じいちゃんが刺されたですね。防護はしていたけど、手だけ軍手だったので(ハチの針が)突き抜けたというかですね。指先刺されたんですよ。だいぶ腫れていた。」
この日は、依頼を受けた福岡県大牟田市の業者が駆除に駆けつけました。
■阿部まみキャスター
「スズメバチの巣があちらに見えますでしょうか、周りには数匹スズメバチが飛んでいます。」
■蜂屋のサカイ・坂井祐介 社長
「(Q. 巣の中に何匹ぐらいいる?)トータルで100匹ぐらいいるんじゃないでしょうか。」
種類は、コガタスズメバチで、攻撃性は高くない種類ですが、果実を収穫する際に巣のある木が揺れたことで人を攻撃したとみられます。
巣の入り口に直接殺虫剤を噴射し、ハチをおとなしくさせて巣を根元から取り除きます。
巣は放置しておくと巨大化して危険が増すため、早めの駆除が必要で、この業者は1万円から2万円程度の料金で駆除を請け負っています。
この日、もう1件の依頼は、住宅の庭先にできた巣の駆除でした。
■坂井社長
「種類はコガタスズメバチですね。こういう生い茂った木の茂みの中に、枝に絡まってつくる分は全部コガタスズメバチです。」
スズメバチの危険はどこにでもありますが、最悪の場合、刺された人は毒によるアレルギー性ショックで死に至るケースもあります。
去年、ハチに刺されて亡くなった人は全国で20人です。
攻撃を避けるために知っておくべきハチの特性を聞きました。
坂井さんによると、スズメバチは動いているものを敵とみる習性があるといいます。
■坂井社長
「ハチの視界は基本的に黒いものだけ反応する、それが見えるっていう状況になるので、 白いものだと透明に近く見えてしまうっていうような認識。」
この特性を知ったうえで、ハチに出あった場合は騒がずゆっくり後ずさり、攻撃してきたら、絶対に対処しようとせず逃げることが大切です。
専門家によると、温暖な気候の九州地方では12月半ばまでがスズメバチの活動期にあたるということで、まだしばらくは注意が必要です。
九州地方では、12月半ばまで注意が必要というスズメバチですが、生態に詳しい九州大学の上野高敏准教授によると、今が活動のピークということです。
上野准教授は服装での対策としてまず、頭は帽子をかぶり髪を隠すことや、長袖・長ズボン・靴下で露出を減らすことを挙げています。また、黒を狙う習性があるため、白など薄い色が適しているということです。このほか、ハチの針は2・3ミリあるので、ピタッとした服装よりもゆったりしたものが地肌に届きにくいということです。
多くの種類のスズメバチが、特に上半身を狙ってくるため注意が必要です。
一番の対策としては、不用意に巣に近づかない、万が一見つけた場合はすぐに、その場を離れることが重要だということです。