健康保険証から『マイナ保険証』へ 今後の対応と使用のメリットとは?【テレビ派・長島カイセツ】
広島テレビの長島清隆解説委員が、注目のニュースを分かりやすく分析・説明する『長島カイセツ』です。健康保険証の新規発行の終了に伴う今後の対応についてお伝えします。
国は「マイナンバーカード」と紐付けた「マイナ保険証」の利用を推奨しています。12月2日で、現在の健康保険証の新規発行は停止されましたが、最長1年間は使用可能です。
しかし1年経つ前に、国民健康保険など有効期限が過ぎた場合、その時点で失効となり、マイナ保険証を使用することになります。しかし、マイナンバーカードと保険証を紐付けていない、もしくはそもそもマイナンバーカードを持っていない場合は、「資格確認書」を使用して受診することになります。資格確認書は、マイナ保険証を持っていない人を対象に、保険組合や自治体から自動的に交付されます。
医療の現場はマイナ保険証でどう変わっているのか、広島市安芸区のクリニックを取材しました。受付には、保険証の新規発行が終わることを知らせる張り紙がありました。
■広島テレビ 長島清隆解説委員
「こちらが、マイナンバーカードの読み取り機になります。マイナンバーカードをセットすると、顔認証か暗証番号を選ぶ画面が出てきます。こちらを選ぶと、マイナンバーカードが読み取られる仕組みです。」
国はマイナ保険証になることで、特定健診の情報を共有できたり、高額療養費の限度額を超えた金額を認定証を申請しなくても免除されるなど、メリットがあると説明します。
■たにクリニック 谷充理院長
「(マイナ)保険証としてうちの利用率としては、20%弱の方が利用されています。よそで受けたよという健診を確認することで、その方の腎機能などがわかれば、薬を出すときにより安心して処方できます。」
次に訪ねたのは、近くにある調剤薬局です。主に消化器内科を中心に、様々な医療機関から出された処方箋を受け付けています。この調剤薬局の利用者の8割がマイナ保険証を使っていると言います。
マイナ保険証を使用することで、これまでに受診した医療機関や、処方された薬が正確に表示されます。その一方で、個人情報を保管されることに少し不安も感じます。
■薬剤師は…
「(マイナ保険証を)通して、24時間でデータは見ることができなくなるので、ずっと見られるかどうかという不安は大丈夫です。」
まだ全ての調剤薬局や医療機関で、データをすぐに確認できるシステムに対応できていないそうです。将来的には、お薬手帳に近い役割を果たせるのではないかとのことでした。例えば、患者がお薬手帳を忘れた際に、マイナ保険証に服用している薬についてデータ化されていると、正確な情報が確認ができると思われます。
マイナ保険証の普及率を見ると、マイナンバーカードの保有率は、現在国内で75%を超えており、4人に3人は保有しています。このマイナンバーカードを持っている人の中で、保険証を紐付けたマイナ保険証の利用登録をしている人は、8割で比較的高い印象です。しかし、医療機関を受診した人で、実際にマイナ保険証を利用している人の割合は、まだ2割程度にとどまっています。
マイナ保険証のメリットも感じられますが、読み取り機のエラーなど、トラブルが全くないとは言い切れません。また、マイナンバーカードには電子証明書が埋め込まれており、有効期限が5年で更新が必要となります。期限が切れていることに気づかず、病院でマイナ保険証が読み取れない可能性もあります。
その場合は「資格情報のお知らせ」を提示することになります。マイナ保険証を持ってる人には、9月以降に自身の健康保険組合から送付されます。「資格情報のお知らせ」はシールで剥がせるため、保険証として利用できます。ただし、マイナ保険証と「資格情報のお知らせ」の両方が必要となります。今の保険証が新規発行が停止になっても、すぐに使用できなくなるのではありません。慌てることがないように、自身にどの書類が必要なのかをしっかりと確認しておきましょう。
【テレビ派 2024年11月29日放送】