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本人を名乗る人物からメッセージも...県立近代美術館所蔵作品に「贋作」の疑いが浮上した問題【徳島】

2024年7月18日 20:00
本人を名乗る人物からメッセージも...県立近代美術館所蔵作品に「贋作」の疑いが浮上した問題【徳島】
先日、徳島県立近代美術館が6720万円で購入した絵画に「贋作」の疑いが浮上しました。

その後、お隣・高知県でも同じ贋作者によるものとみられる作品が高知県立美術館にあることが判明、全国的にも大きなニュースとなっています。

ことの真相を確かめようと、四国放送が贋作者の公式サイトだというページにメッセージを送ったところ、何と本人を名乗る人物から回答がありました。


徳島県立近代美術館所蔵「自転車乗り」(ジャン・メッツァンジェ)


透明感のある光線、自転車のスピード感、躍動感溢れる選手の動き、様々な視点から見たイメージを1枚の絵の中で合成する技法・キュビズムの代表的画家ジャン・メッツァンジェの「自転車乗り」という作品です。

県立近代美術館所蔵のこの絵に先日、ある疑惑が生じました。

徳島県立近代美術館 竹内利夫課長)
「作品が本人のものではなく、贋作者が作ったものであるという疑いが生じているということです。嘘であってほしい、ショックです」

この作品が「贋作」、つまり偽物だというのです。

この作品を県立近代美術館が購入したのは1999年。

ピカソを中心とした展示構成を考えていた近代美術館は、ピカソと同じキュビズムの代表的画家メッツァンジェの作品として、これを6720万円で購入しました。

購入から25年、その知らせはまさに青天の霹靂でした。

(徳島県立近代美術館 竹内利夫課長)
「インターネット上に、今回の作品が贋作であると紹介している記事があることをあるところから紹介いただきまして、そっくりそのまま」

そのインターネットの記事というのが、「見事な贋作」と題されたニュース記事です。

アメリカの3大ネットワークの1つであるCBSテレビが10年前に掲載したもので、贋作とされる絵画が多数紹介されています。

県立近代美術館の「自転車乗り」は、この記事のトップに掲載されていました。

そして記事にはこんな絵も。


高知県立美術館所蔵「少女と白鳥」(ハインリヒ・カンペンドンク)


お隣・高知の県立美術館が1996年に1800万円で購入した、ドイツのハインリヒ・カンペンドンク作「少女と白鳥」。

この作品にもまた、贋作の疑いがあるというのです。

(高知県立美術館学芸課 奥野克仁課長)
「我々はわかりませんでした。30年近くにわたりずっと展示してきた作品で、とてもいい作品なのでとても驚いています」


描いたのはドイツの天才贋作師?


これらを描いたとされるのが、ドイツの天才贋作師と呼ばれるヴォルフガング・ベルトラッキという人物です。

ベルトラッキの手法は、実際に存在する絵画をコピーして制作するのではありません。

その作者がいかにも描きそうな絵を,
その作者の作風を完璧に再現して製作し、その作者の「未発表作品」として販売するのです。

これまでに300点以上の贋作を作り、世界を舞台に5000万ユーロ(約86億円)をだまし取ったとされています。

(徳島県立近代美術館 竹内利夫課長)
「『自転車乗り』という同じタイトルの関連作がありまして、海外に所蔵されている。パリとベネチアと。(今回の絵は)非常に図柄がよく似ていて、違うアレンジで描かれたもので、この一連の制作の中に入ってくる作品だと判断した」

メッツァンジェは「自転車乗り」をモチーフに複数の絵を制作していて、県立近代美術館の絵はこれらの作風をまねた、ベルトラッキの贋作かもしれないのです。

もしベルトラッキの贋作なら、どんな経緯で徳島にやってきたのか。

県立近代美術館に絵を販売した、大阪の画商を訪ねました。

(河野将明記者)
「こちらが、今回の絵を売った画商が入っているビルです。先ほど伺ったのですが、不在でした」

画商の経営者は県立近代美術館の問い合わせに対し、「本物だと思うが、改めて書類などを調査する」と、回答したということです。


ベルトラッキの公式サイトだというページに直接メッセージを送ると...


真相を確かめようと、今回、四国放送はベルトラッキの公式サイトだというページに、直接メッセージを送りました。

すると…、何と本人を名乗る人物から回答があったのです。

(ベルトラッキ本人を名乗る人物からの回答)
「私は1986年か87年ごろに『自転車乗り』という絵を描きました」

回答でベルトラッキを名乗る人物は、かつて「自転車乗り」の贋作を制作したと認めました。

そして...。

(ベルトラッキ本人を名乗る人物からの回答)
「メッツァンジェの鑑定士、マダム・ニキエルがこの絵を本物と認め、パリのギャラリーオーナーに売られました」

ベルトラッキ本人を名乗る人物から回答
「私は35年間にわたり120人のスタイルで作品を描き、300作品が完成しました」

その絵が専門家によって「本物」と鑑定されたこと、これまでに数多の画家の贋作を制作してきたことを明らかにしました。

そして、回答にはこんな一説が。

(ベルトラッキ本人を名乗る人物から回答)
「あなたたちの素晴らしい国で混乱を招いてしまい、大変申し訳ございません」

果たしてこの絵は本物なのか、それとも...。

県立近代美術館による調査の結果が待たれます。



一体、何が本当なのか定かではありませんが、県立近代美術館は今後、作品の真贋に関する調査を進め、改めて結果を公表するとしています。

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