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【映像企画】色鮮やかで幾何学的模様「肥後てまり」に魅了された女性

2024年10月26日 8:00
【映像企画】色鮮やかで幾何学的模様「肥後てまり」に魅了された女性

“色”がテーマにしたカメラマンによるシリーズ映像企画「Kumamoto color」です。今回は、色鮮やかで無数のデザインが魅力の伝統工芸品「肥後てまり」です。肥後てまりに魅了され、45年以上作り続ける女性を取材しました。

熊本市中央区で肥後てまりの作り方を教えている鶴田美知子さん。制作歴45年以上で、「肥後てまり同好会」の代表です。

肥後てまりは江戸時代、熊本城の奥女中たちが作り始めたのが全国に広まったとされる熊本県指定の伝統工芸品です。時代によって変化し、主に観賞用として発展してきました。現在は色鮮やかで、幾何学な模様が刺しゅうされているのが特徴です。

鶴田さんが肥後てまりと出会ったのは45年以上前。テレビで特集されていた肥後てまり作家の後藤照さんを知り、教室に通い始めました。そして後藤さんに弟子入りした鶴田さんは、会社勤めをしながら活動。1993年に後藤さんの跡を継いで肥後てまり同好会の代表に就きました。

肥後てまりは、芯のヘチマを綿と糸でくるんだ後、表面に刺しゅうで鮮やかな色と幾何学的な模様を施していきます。一針一針、丁寧に刺しゅうしていく細やかな作業。仕上げるのに1か月以上かかる作品もあります。設計図がないため、作業途中のものを取っておき、確認しながら作業を進めます。

鶴田さんた手がける肥後てまりは、アサガオやアジサイ、菊など自然をテーマにした模様や、「中央すかし」という伝統的な模様は十二単衣の配色を参考にした「中央すかし」という模様など。これら伝統的な模様をアレンジし、どんな色が合うか考え色鮮やかなフランス刺しゅうの糸を組み合わせます。アレンジした模様と色の組合せで作られる肥後てまりのデザインは、まさしく無数です。

「無数にデザインがあるのも肥後てまりの魅力。技術を習得したら、柔軟にアレンジを加える。時代によって変化していくことも大事」と話す鶴田さん。45年以上前に出会い、今は生活の一部以上の存在になったという肥後てまりを、これからも続けていきます。