【世界初の技術】希少疾患の治療薬開発目指すベンチャー企業 ビジコン世界大会に挑戦
熊本大学の研究者がつくったベンチャー企業が10月、アメリカで行われたビジネスの世界大会へ出場しました。少しでも多くの人を救いたいと、独自の技術で薬をつくる挑戦を続けています。
10月、アメリカ・サンフランシスコで行われた世界最大級のビジネスコンテスト「スタートアップワールドカップ2024」。その大舞台に、熊本のベンチャー企業が登壇しました。スピーチしたのは、熊本大学工学部の勝田陽介准教授(42)です。
■熊本大学工学部 勝田陽介准教授(英語でスピーチ)
「私たちは希少疾患(希少がんや希少疾患など)の治療薬開発に取り組んでいます」
勝田准教授は3年前の2021年、大学に勤めながら創薬ベンチャーの「StapleBio」(ステープルバイオ)を設立しました。
■熊本大学工学部 勝田陽介准教授
「DNAです。DNAがちょっと伸びたようなやつがこれです」
取り組むのは、世界初の技術「Staple核酸」を利用した次世代の医薬品です。ステープルとはホチキスの芯という意味。「Staple核酸」は、狙った遺伝子上の2点をホチキスで留めるようにして近づけ、特殊な構造を作ります。この部分が病気の原因となるタンパク質の量を調整し、薬の役割を果たすということです。勝田准教授は、この技術を使って、患者数が少ない希少疾患の治療薬の開発を目指しています。
■熊本大学工学部 勝田陽介准教授
「やはり1秒でも早く(治療薬を)つくるというのはとても大事ですし、その薬をつくろうとしている会社があるということを知っていただくことで、1秒でも長く生きたと思う患者さんが増えるとすごくいいなと」
研究室に所属する学生の中には、家族のために研究を続ける人も。修士1年の松本愛優さんです。松本さんの祖父は、現在の医療では治せない心臓の病気を患っています。
■熊本大学大学院修士1年 松本愛優さん
「病気になって苦しんでいる状況とかも間近に見ていた。薬をつくるようになれば、そういった病気も治せるようになるというので、おじいちゃんを救いたいという気持ちが結構大きい」
治療法や薬がないことも多いという希少疾患。2~3年以内の臨床実験を目指し、「Staple核酸」を使った医薬品づくりの研究が続いています。