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「頑張るきっかけに」亡くなった子どもがつないだ熊本の女性とバスケ髙田真希選手の絆

2024年10月29日 19:32
「頑張るきっかけに」亡くなった子どもがつないだ熊本の女性とバスケ髙田真希選手の絆
竹邊八千子さん(左)と髙田真希選手

10月、女子バスケのプロリーグ「Wリーグ」の試合が、熊本で開催されました。日本代表でパリオリンピックでも活躍した髙田真希選手も出場。その姿を特別な思いで見つめる女性がいました。

10月19日。県立総合体育館で行われた女子バスケWリーグの試合。この日を待ちに待っていた人がいます。竹邊八千子さんです。お目当ては…。

■竹邊八千子さん
「リツさんのファンになるきっかけだった試合。それが今回熊本で見られるというのは感慨深い、うれしいです」

ファンには「リツさん」の愛称で親しまれる、日本代表・髙田真希選手です。髙田選手は、竹邊さんの"支え"であり続けています。

熊本県南部の球磨郡湯前町に住む竹邊さん。15年前に生まれた1人息子の柊太さんは、生後間もなくウエスト症候群という、てんかんが頻発する難病と診断されました。仕事をしながらの子育て。支えになったのが、柊太さんを妊娠していた頃から応援し続ける髙田選手でした。

■竹邊八千子さん
「することもかっこいいし、言っていることもかっこいい。本当に人として尊敬できる。リツさんが大丈夫なら、柊太を抱っこして写真を撮りたい」

憧れや思いを手紙にしたためた竹邊さん。その思いは、髙田選手にしっかりと届いていました。

■髙田真希選手
「直接自分が会って勇気や元気を届けられるのだったら、 自分が行けばいいかなっていうので、熊本に決めました」

地元の愛知県で生産者や飲食店を支援するマルシェを開いてきた髙田選手。竹邊さんの手紙をきっかけに、マルシェが熊本で開かれることになりました。去年7月、マルシェの会場で、八千子さん親子と髙田選手の初めての対面が実現しました。

■髙田真希選手
「おお!初めまして!柊ちゃんわかる?」

夢だった記念撮影も実現しました。

■竹邊八千子さん
「本当にありがとうございました」
■髙田真希選手
「本当にありがとうございます!お母さんもご無理なく、私も応援しています!」
■竹邊八千子さん
「ありがとうございます。頑張れます」

今年の春には、柊太さんと愛知に試合を観に行こうとしていた竹邊さん。しかし、髙田選手と会った4か月後の去年11月。柊太さんはインフルエンザに感染し、容体が急変。14歳でこの世を去りました。

■竹邊八千代さん
「会いに行くって約束したじゃないって思ったんですけど、運ばれて亡くなるまでが5日間しかなかったんですよね。だから覚悟もしようがないというか」

今も、家のあちこちには柊太さんの服を着たテディベアや写真など、思い出が。悲しみに暮れていた八千子さんは髙田選手に連絡をしました。すると…。

■竹邊八千子さん
「お線香をあげに行きたいけど、リーグも途中だし。でもタイミングを見ていきますって、ずっと言われていて」

「熊本に行く」という、約束。試合を見せるという形で実現することに。

■髙田真希選手
「柊太くんがつないでくれた出会いっていうのもありますし、 この熊本でバスケットができるっていうことも、自分にとってはそういう運命かなと思っているので。親御さんにとっても自分が活躍してるのを見ていただいて、 元気や勇気を取り戻していただけたらいいなっていう、 そんなプレーをしたいなと思います」

10月19日、迎えた熊本での試合。竹邊さんはコートすぐそばの席で、柊太さんと一緒に髙田選手を見つめます。

■竹邊八千子さん
「さっき気付いてくれました。入場してきた時に手を振ってくれました。(柊太さんに)見せてあげたかったんですけどね。こういう形ですけど、一緒に来られて良かったと思います」

髙田選手は40分間の試合の中で32分の出場。攻守にわたってチームを引っ張ります。熊本での試合を特等席で見守った竹邊さん。髙田選手の全力プレーと勝利を見届ける事ができました。

■柊太さんの服を着せたぬいぐるみ抱いた竹邊八千子さん
「お願いだから勝ってって、この人に勝たせてって(お願いして)ずっと見ていました」
Q柊太さんも見てくれていると
「そうね、ママだけずるいとか、近くで見られてずるいって。あんたもここにおるって思いますけどね」

翌日。髙田選手が湯前町の竹邊さんの自宅を訪れました。2戦目の試合を終えた後、駆けつけてくたのです。柊太さんが亡くなって、もうすぐ1年。

■髙田真希選手
「良かったです、こうして来られて」
■竹邊八千子さん
「本当にありがたいと思って」
■髙田真希選手
「いやいやこちらこそ、ずっと応援してくれてたので。これからも(柊太さんと)一緒に」

■竹邊八千子さん
「(柊太さんが)たぶんめっちゃこれ以上の笑顔で、めっちゃ笑って見てると思う。感謝しかないですね、頑張るきっかけになりそう」

■髙田真希選手
「今でも自分は力をいただいていますし、 やっぱり自分のことを今でも応援してくれていると思うので、さらに生きる活力となっていったらうれしいなと思いながらプレーしているので、そういった気持ちが伝わるようなプレーをこれからもしていきたいと思います」

柊太さんがつないだ髙田選手との絆。竹邊さんにとって特別な2日間となりました。

最終更新日:2024年10月30日 15:11