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「逆境にこそ夢がある」地震・豪雨・くまモン・TSMC… 4期16年の蒲島県政

2024年4月15日 19:13
「逆境にこそ夢がある」地震・豪雨・くまモン・TSMC… 4期16年の蒲島県政

熊本県の蒲島郁夫知事は15日、任期満了を迎え、退任しました。県政史上最長となった4期16年の蒲島県政を振り返ります。

2008年に初当選した蒲島知事。山鹿市出身で、農協の職員を経てアメリカで政治学を学び、東京大学法学部の教授から県知事へ転身。いわゆる「学者知事」の誕生でした。

就任から半年後の2008年9月。蒲島知事は県議会で国の川辺川ダム計画の白紙撤回を表明しました。
■蒲島知事
「現在の民意は球磨川を守っていくことを選択していると思う」

しかしその12年後の2020年、熊本豪雨で甚大な被害を受けると、「住民の命と清流を守る」として方針を転換し、国に流水型ダム建設を求めました。

蒲島知事が一貫して「政治の原点」としてきたのが水俣病問題です。患者認定を受けていない被害者を救済する「特別措置法」の成立に向けて尽力しました。

一方で、救済対象から外された被害者は今も国と熊本県の責任を追及し、裁判で争っています。

2010年、蒲島知事が世に送り出したのが…くまモンです。
■畑中香保里キャスター(2010年12月)
「県庁には、くまモンのグッズを作りたいと希望する企業のみなさんが詰めかけています」

関連商品の売り上げは累計1兆4596億円に上り、熊本を世界に発信し続けています。
■蒲島郁夫知事(2024年4月)
「私が考える世界一の公務員ではないかなと思う」

2016年4月。熊本地震を受けて知事が掲げたのが、「創造的復興」です。生活再建を急ぐとともに、益城町の県道4車線化などまちづくりを推し進めました。

2020年には、新型コロナの感染拡大で対応を余儀なくされると、7月には熊本豪雨が発生。地震、豪雨、コロナと「三重苦」の状態に。しかし、「逆境の中にこそ夢がある」と自らの政治信条を掲げ、常に前向きに県政運営に努めてきました。

そうした中で、実を結んだのが…
■蒲島知事(2023年9月・県議会)
「100年に1度という熊本にとっては、ビッグチャンスがきています」

台湾の大手半導体メーカー、TSMCの進出です。県内への経済波及効果は10年間で6兆8500億円。

熊本が大きく変わる転換期に、県政をけん引してきたバトンは、木村新知事へと引き継がれます。