生活保護受給者への詐取事件受け「ケースワーカー不足」熊本市が検証委設置
この事件は熊本市南区のケースワーカーとして働いていた女の職員が、生活保護費の返還手続きなどを装い受給者やその家族から現金約755万円や通帳・印鑑をだまし取ったとして去年、執行猶予付きの有罪判決を受けたものです。
事件を受け熊本市は学識経験者やケースワーカー経験者などによる検証委員会を設置。8日に再発防止策などをまとめた報告書を大西市長に提出しました。報告書のなかで強く指摘されたのは、ケースワーカーの不足です。
熊本市の生活保護世帯数は数年前まで減少傾向にあったものの3年前から少しずつ増加し、去年3月時点で1万2090世帯に。社会福祉法の規定ではケースワーカー1人あたりの標準担当世帯数を80世帯としていますが、熊本市は101世帯と規定を上回っています。中には130を超える職員もいて慢性的な過重業務が起きてきているのです。
報告書では、職員の増員を求めるとともに業務に追われチェック機能が働かなかった点も指摘しています。
■委員会・石橋敏郎会長(県立大学名誉教授)
「最後の砦となっている生活保護行政の中で起きたということ。チェック体制の甘さ、危機管理の不十分さは否定できない」
改善策には生活保護世帯への対応を複数で行うことや「ケースワーカーが現金や通帳、印鑑を預かることはない」と周知すること。ケースワーカーの悩みを相談できる体制をつくることなどが盛り込まれました。
13年前にもケースワーカーによる生活保護費の横領事件が起きていた熊本市。
報告を受け大西市長は…
■熊本市・大西一史市長
「政令指定都市の中でも(ケースワーカーの配置が)ワーストという状況にあったので、ここを改善すべく今後の人員の配置もしっかり増強して1日も早くこの標準数の確保に向けて取り組みたい」
その上で大西市長は適正な生活保護業務ができるようチェック体制を強化したいと語りました。