【熊本のニュース総決算2024】知事選・水俣病・TSMC 激動の政治経済
2024年の熊本県内のニュースを振り返るシリーズ「総決算」。2回目は熊本の政治・経済を振り返ります。
3月に行われた県知事選挙。蒲島郁夫元知事からのバトンを受け、選ばれたのは蒲島元知事の東大教授時代の教え子で元副知事の木村敬氏でした。16年ぶりに新たな県政のかじ取り役が誕生しました。
5月、水俣病の被害者団体と環境大臣との懇談で、一連のやりとりが大きな波紋を呼びました。
■水俣病患者連合 松﨑重光副会長
「私はいつも家内と話していました」
■環境省の担当者
「申し訳ございません。話をおまとめください」
(マイク絞られる)
■水俣病患者連合 松﨑重光副会長
「いま…」
■周りの人
「スイッチ切った」
発言の持ち時間の3分が過ぎ、マイクの音量が切られたのです。
その1週間後、伊藤信太郎環境相(当時)は、再び水俣を訪れ直接謝罪しました。
■伊藤信太郎環境相(当時)
「心からお詫び申し上げたい」
さらに、この人も。
■木村敬知事
「あの場で事実上“つるし上げ”になっている。大臣も環境省も」
“つるし上げ”と表現し、すぐさま発言を訂正する事態となりました。
その後、国と熊本県は被害者団体との協議を複数回開催し、要望などについて意見を交換。一方、伊藤氏の後任の浅尾慶一郎環境相は、まだ水俣を訪れていません。
■木村敬知事(12月インタビュー)
「今苦しんでいらっしゃる、悩んでいらっしゃる皆様方にしっかり寄り添っていく、そしてそれを一歩でも前進するよう県が努力していくということが一番だと思っています。そのためにも、まずは新しい環境大臣に水俣にお越しいただきたい」
自民党の“政治とカネ”の問題がクローズアップされた10月の衆議院議員選挙。全国では野党が大きく議席を伸ばす中、熊本では4つの選挙区を自民党が独占しました。
歓喜の瞬間はこちらでも。
■木村敬知事
「これからも県産酒をどんどん飲んでいきましょう。おめでとうございます!」
12月、日本酒や焼酎などを造る技術、「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産への登録が決定。県産酒の消費拡大の起爆剤になるか、今後に注目です。
空の玄関口・熊本空港では、コロナ禍からの復活の動きが相次ぎました。台湾や韓国など国際線は、4路線週40便と大幅に増加。空港を利用する外国人旅行客も今年度は35万人を超え、過去最高となる見込みです。
■台湾からの利用者
「台湾の人はくまモンが好き。たくさんくまモンの写真を撮ったよ」
そのくまモン誕生から14年。熊本の経済をも支える存在となっています。
そんな大先輩に続けと鼻息を荒くしているのが…
(11月12日放送より)
■緒方太郎キャスター
「ゆるキャラの日本一を決める『ゆるバース2024』で日本一に輝きました、ちくワンと、日奈ぐ~隊の隊長松本啓佑さんに来ていただきました」
八代市日奈久の名産ちくわと犬をかけ合わせた「ちくワン」。熊本県勢としては、くまモン以来13年ぶりとなる「ゆるキャラグランプリ」で日本一に輝き、日奈久公認から八代市公認に“格上げ”。来年どんな活躍をみせてくれるのでしょうか。
そして、世界から注目を集めたのが、台湾の大手半導体メーカーTSMCです。2月、日本で初めて菊陽町に建設した工場が開所しました。
■TSMC創業者 モリス・チャン氏
「日本における半導体製造のルネサンスの始まりになると信じています」
人口の増加を見越し、周辺ではマンションなどの建設ラッシュに。大津町の地価の平均上昇率は19.4%で全国トップになるなど、まさに“半導体バブル”状態となりました。
一方、半導体関連企業の相次ぐ進出に伴い、農地を手放さざるを得ないなど経営に影響が出ている農家や酪農家も。
■酪農家 古庄寿治さん
「(行政は)農業を一生懸命考えているという割には、おそらく一番農業のことを考えていないと思います。すごい勢いで農地がなくなっているんです」
“光と影”をもたらしているTSMCの第1工場。本格的な生産開始は年内を予定。隣接地の第2工場は、2027年末までの稼働を目指しています。
そして、熊本県は第3工場の誘致に向けトップセールスへ。「熊本新時代」の幕開けとなったこの1年。さらなる飛躍が期待されます。
■木村敬知事
「年明けには第2工場の建設が始まります。TSMCをきっかけに熊本が世界に開かれ、また世界から選ばれるように前向きに頑張っていきたいと思います」