【教訓】「逃げるが勝ちの精神で」死者・行方不明者563人 白川大水害71年
死者・行方不明者が563人にのぼった白川大水害から26日で71年です。特に大きな被害を受けた熊本市中央区では犠牲者を追悼する慰霊祭が行われました。
慰霊祭は被害が大きかった熊本市中央区大江の白川沿いで行われ、遺族や地域住民など約40人が出席しました。
(撮影:建設省※当時)
1953年6月26日、記録的豪雨が熊本地方を襲い、熊本市を流れる白川が氾濫しました。死者・行方不明者は563人にのぼりました。
慰霊祭に出席した田尻康博さん(80)。71年前、氾濫した川に流されましたが、一命を取り留めました。
■田尻康博さん
「私は忘れちゃいかんと思う。白川大水害は、熊本で起きた本当に悲惨な大きな水害でしたからね。今後も元気な間は一生懸命みなさんにそのことをお伝えする」
田尻さんは小学校で講演するなど自身の体験を後世に伝える活動を続けています。一方、課題となっているのが被災者の高齢化です。
そんな中国交省は、田尻さんの体験談などをもとにデジタル技術ARを使って濁流が押し寄せる映像を制作し、5月、地元の小学校で初めて披露しました。
白川大水害から71年。新たな技術を使いながら、若い世代に教訓を伝え続けます。
■田尻康博さん
「一番大事なのは命。実際に災害にあってしまったら何もならない。そこは自分で早めの避難。逃げるが勝ちの精神で、それが一番かな」
■71年後も雨 アーケードには水害を伝える記録
熊本市中央区の下通りアーケードに気象予報士の北島茂さんが中継でお伝えします。
(北島茂気象予報士)
平日にもかかわらず雨の影響もあってかアーケードは多くの人でにぎわっています。下通りアーケードには白川大水害を伝えるものがあります。
「実績浸水深」と書かれたプレートです。白川が氾濫を起こし約2.5メートルの高さまで浸水したことを教えてくれています。目線よりかなり高いため見つけにくいかもしれませんが、水がこの高さまで来ていたと考えるとそれだけで怖くなります。
ここで問題です。熊本市の1日に降った雨の量は、白川大水害の日が6月の歴代1位の記録です。何ミリでしょう?ちなみに2位は288.8ミリです。
正解は411.9ミリです。2位より大幅に多く、6月の1か月分に匹敵するくらいの雨が、たった1日で降っていたんです。
そしてその2.5メートルの高さからの映像を見てみると、普段とは全く違う景色となります。過去の災害は決して忘れることなく、未来への教訓として防災につなげていきたいですね。