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【事実上決定】熊本市庁舎移転 建て替えに関する議案が市議会委員会で可決

2024年9月25日 19:52
【事実上決定】熊本市庁舎移転 建て替えに関する議案が市議会委員会で可決
取材した記者が一つのテーマを深掘りする「記者のコトバ」。今回は畑中香保里キャスターが、熊本市庁舎移転問題についてお伝えします。

(畑中香保里キャスター)
熊本市議会では25日、建て替えに関する費用を含む議案が委員会で可決されました。27日に市議会最終日の本会議で可決される見通しで、移転が事実上決定します。

25日の予算決算委員会で可決されたのは、市庁舎建て替えのための費用を含む議案です。今後の支出の上限をあらかじめ約18億8000万円と決めておく債務負担行為として補正予算に計上しています。

熊本地震後に耐震不足などが指摘され、検討が始まった市庁舎建て替え。熊本市は有識者会議などを経て今年6月、本庁舎を「NTT桜町ビルの敷地」、中央区役所を「花畑町別館跡地」とする方針を示しました。

■熊本市 大西一史市長 (7月・市議会特別委員会)
「新庁舎の整備を起爆材とした、 災害に強く、にぎわいにあふれ、熊本市の歴史や文化と調和した強くて魅力的なまちづくりを進めるにあたって、私が不退転の決意で取り組み、実現してまいりたい」

概算事業費は616億円で、必要な費用に関する議案を9月定例市議会に提出しています。

■熊本市 大西一史市長(25日・市議会予算決算委員会)
「可能な限り財政負担を軽減するため、合併推進債の活用を目指しておりまして」

建て替えの必要性について賛否が分かれる中、市が議決を急ぐ理由のひとつが合併推進債の活用です。合併推進債とは、国の特例法に基づき合併した市町村が運営する公共施設の整備費用を補助するもので、活用すれば市の負担額が360億円削減されて約255億円となります。

しかし、活用するには今年度中に業者と契約を結ぶ必要があるため、基本計画から実施設計までを一括発注する予算を9月議会で議決することが不可欠となっています。

■無所属 菊地渚沙議員
「今回は合併推進債のタイムリミットがあったのにも関わらず議論が長引き、最終的に業者に一括発注する選択になったことは非常に残念でなりません」

住民への説明不足を懸念する声も上がり、紛糾した25日の委員会。しかし、議案は賛成多数で可決されました。

■自民党熊本市議団 坂田誠二団長
「今から色々な議論が庁舎建設に向けての前向きに進んでいく一歩が始まったということ」

■共産党熊本市議団 上野美恵子団長
「反対です。市民が何も分からない説明を受けていないにも関わらず、勝手に予算だけを出して議会が了解すれば次の段階に進むのは乱暴」

■熊本自民党市議団 澤田昌作団長
「会派としては大方の意見が庁舎に賛成をして、よりいいものに進めていくというのが一つの方針だったが、それに賛同できない人が何人かいた」

【スタジオ】
(畑中香保里キャスター)
議案は27日の本会議で議決されます。各会派の意見を見てみます。「反対」としているのは、共産党の2人と無所属の議員1人のあわせて3人です。「賛成」は自民党市議団や公明党、市民連合などあわせて32人です。

また、熊本自民党(12人)については会派としては賛成としていますが、25日は一部の議員が反対に回りました。

(緒方太郎キャスター)
市庁舎建て替えをめぐっては、市民に賛否を問うための住民投票の実現を目指す市民団体の署名活動も行われていますね。

(畑中キャスター)
市民団体の西川文武代表は、委員会での可決を受けて「住民投票に向けて市民が動いているのを無視された形で誠に遺憾」とコメントしています。署名活動については、10月28日までに有権者の50分の1にあたる約1万2000人分の署名が集まり有効と判断されれば、市民団体は地方自治法に基づき大西市長に住民投票を行う条例の制定を請求することができます。

最終更新日:2024年9月25日 19:52