米どころ富山でも… 新米の店頭価格上昇
待ち望んだ新米が店頭に並び始めました。全国的にコメの品薄が問題となる中、富山県内でも値上げの動きがみられる新米の価格について、清水記者のリポートです。
黄金色の穂が垂れる田んぼの中を進むコンバイン。
先週、射水市ではコシヒカリの刈り取りが行われていました。2023年県内では、コシヒカリの品質が猛暑の影響で過去最低水準となったため、生産農家は2024年、水の管理などに気を配り、イネの生育を見守ってきました。
布目沢営農 小塚守代表理事
「出来は平年並みかなという気がしてますけど。おいしいコメを食べていただきたいと思うので、なるべく品質の良いものを届けていきたい」
燃料費の高騰や円安による肥料の値上がりなど、農業経営をめぐる状況は近年悪化を続けていて、JA全農とやまは2024年、生産者に前払いする「概算金」を全ての品種で増額しました。コシヒカリと富富富はともに1等米60キロあたりで3000円のアップです。
布目沢営農 小塚守代表理事
「去年あたりから肥料が相当高くなってるので、補助金も出ているんですけど、そういう意味で経営を多少圧迫しているなと思っていますので、今年の概算金が高くなることについては非常にうれしく思ってます」
概算金はコメの市場価格に影響を与えるとされています。専門家は、今年の新米は値上がりする可能性があると指摘します。
新潟食料農業大学 青山浩子教授
「概算金っていうのはそれだけ重い影響力があって、日本のお米全体の価格に影響を及ぼしているので、全体的にやはり米価が上がるということになりますね」
JA全中は、全国的に概算金が上がった理由について2023年のコメの等級が低く、流通量が下がったことで、直近の価格が高くなっていることや、食料品全体の中でコメの価格の上昇は比較的緩やかで需要が高まったことなどを挙げています。
県内の小売店では供給がひっ迫しているとして、値上げに踏み切るとともに購入できる数に制限を設けるところもあります。立山町の小売店では、「てんたかく」の新米は2023年の同じ時期と比べて、3割ほど値上がりしていて、9月中旬から販売予定する県産のコシヒカリについては、同じくらいの値上がりが見込まれるとしています。
今後の価格について青山教授は、コメが平年並みの収穫量で市場に出回る場合には、これまでにコメを買いだめした各家庭が新米の購入を控えることで、価格が下がる可能性があると話します。
新潟食料農業大学 青山浩子教授
「今ちょっとおコメが家庭に在庫として残っている状態だと思うんです。そうするとあんまり新米に手が伸びないというか、高いしちょっと新米買い控えておこうかなっていう人が増えたりすると、そうすると価格を卸売業者も店頭、スーパーなども下げていくことになりますよね」
店頭に並び始めた新米。価格はどこまで上がるのか、米どころ富山での動きに注目が集まります。