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特定業者のみに“参考見積り”依頼か 立山町官製談合事件

2024年3月6日 19:30
特定業者のみに“参考見積り”依頼か 立山町官製談合事件

立山町発注のキャンプ場設計業務を巡る官製談合事件で、逮捕・起訴された町の係長が、同じく逮捕された男性役員が務める設計事務所に対してのみ入札の予定価格を決めるための参考見積もりを取っていたとみられることがわかりました。

有識者は、「情報漏洩の恐れがあり、業者間の公平性を欠く」と制度の問題点を指摘します。

この事件は、立山町が2023年発注したオートキャンプ場の設計業務などの入札をめぐり、町の教育課係長の男が富山市の設計事務所の男性役員に仕様書の案文など入札情報を漏らしたとして、官製談合防止法違反などの罪で起訴されたものです。同じ罪で逮捕された男性役員は、罰金100万円の略式命令を受けました。

事件をうけ町は2月、すべての正規職員を対象として公務員倫理や法令遵守などについての研修会を開きました。

立山町 清水正総務課長
「こういったコンプライアンスの意識を、しっかりと身に着けていただくように努めていきたい」

官製談合の背景にあったのはコンプライアンス=法令遵守の問題だけなのでしょうか。

これは、事件となった入札をめぐり、予定価格を決めるために町が業者からとった参考見積書です。

予定価格とは「入札を行う際に、発注者側が予算の上限を示す金額」で内容に応じて決まります。

一般的に予定価格は、町が独自で算出し、それをもとに入札が行われます。ただ、町では算出できない複雑な内容の業務については、事前に業者側に参考見積もりを取っているということです。KNBが町に対し情報開示を求めたところ、事件となった入札について事前に見積書を提出したのは、男性役員が務める設計事務所だけでした。その後の入札では、この設計事務所が落札しています。

町はKNBの取材に対し、係長が「この業者のみにあらかじめ業務の一部内容を伝え参考見積もりを取らせていたとみられる」と答えました。

行政法が専門の神山智美富山大学教授は、参考見積もりの取り方について「業務内容を漏洩しているほか、入札の公平性の観点でも問題がある」としたうえで、入札に関する各法令に抵触する可能性があると指摘します。

富山大学 神山智美教授
「『この点を重視したい、配慮したい、期日はいつにしたい』オートキャンプ場ならではの、なんらかの意向を掴んでいるとしたら、差が出るとしたらその部分になるわけですよね。大変有利に働くと思います。公平さを欠いておりますし、機会の均等も失していると思います」

また、このほか2件の入札についても同様に、予定価格を決めるための見積もりを、この設計事務所のみに依頼していました。いずれの入札も、この設計事務所が落札しています。

町は、通常は、参考見積もりを複数社からとっているとしたうえで、1社のみにとった経緯については「係長しか把握しておらず不明だ」と答えました。

一方、入札に参加するとみられる業者への見積もり依頼については「全ての情報を伝えているわけではないので問題はない」としました。

KNBのまとめでは、立山町を含む14市町村が「入札に参加する業者に対し予定価格の参考見積もりを取ることがある」と答えました。上市町だけは「公平性の観点から入札に参加するような業者には見積もりは依頼しない」としています。

神山教授は「癒着を生むきっかけになりうるため、改善が必要だ」と言います。

富山大学 神山智美教授
「事前相談ですとかコンサルという位置づけで自治体側は用いていたのではないかと考えられます。であれば、技術的助言をいただく事業者というのはやはり入札事業者と分けておくべきであるというのが鉄則だと思います。例えば県外であったりとか県内でも違う地域であったりとか、入札に参加しない事業者に頼む、もしくは、事業者団体に頼むというところですね。そうした仕組みが必要だと思います」

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