老朽化と少子化 富山県内で相次いで姿消す歩道橋 通学路の安全どう守る
道路の歩道橋についてです。1960年代から70年代にかけて、歩行者の安全対策として設置が進んだ歩道橋が、近年、県内では相次いで撤去されています。
なぜ減少しているのか、取材しました。
22日、南砺市では歩道橋を撤去する工事が行われていました。
1974年に作られた、南砺市内で唯一の歩道橋です。
近くにある福野小学校の児童が通学などで利用してきましたが、建設から50年。
老朽化が進み、2500万円あまりの費用をかけて撤去することになりました。
設置された掲示板には住民たちが役目を終える歩道橋への感謝の言葉を書き込んでいました。
「孫2人小学生、ここに通っていたので、毎日ずっとまわっておりるまで送っていました。なかったらなかったで、ちょっと寂しい」
「壊すことは老朽化もあってしかたないんですけど、またなにか安全対策あればなと思います」
すぐ近くにある福野小学校は、4つの小学校を統合して1969年に開校しました。
当時、児童は1000人ほどいましたが、現在は622人。
老朽化に加えて児童数の減少などで利用者が減っていることから、歩道橋の取り壊しが決まりました。
近年、県内では歩道橋が相次いで撤去されています。
8月4日には富山市の安野屋町にあった歩道橋が姿を消しました。
歩道橋は、自動車が普及し、交通事故が急増した1960年代から70年代にかけて通学路などに作られました。
しかし高齢者からは、階段の上り下りに苦労するという声もあがっていて、県内で平成以降に撤去された歩道橋は19か所。現在も残っているのは26か所です。
県土木部 玉井耕平道路課長補佐
「ちょうど50年くらい経っているのでそのまま補修してつかっていくのか役目を終えたのか判断する時期にきている」
富山市の中心部にあった歩道橋は、小学校の統廃合によって八人町小学校が閉校し、利用者が減ったことなどから2012年に撤去されました。
県によると、2023年度の県内の小学生は4万6000人あまり、中学生は2万5000人あまりで、40年前のおよそ4割ほどにまで減っています。
学校数も減少し、通学路の風景は以前とは変わってきています。
県土木部 玉井耕平道路課長補佐
「利用者が減っているという実態があって、通学路として歩道橋が設置されたんだけど、信号の横断歩道で十分わたれる安全な状況ということで撤去という流れが1つある」
22日、撤去作業が行われた南砺市の福野小学校前の歩道橋。
ここでは、かわりに横断歩道が設置されました。
通学路が変わっても、児童の安全を最優先に考えて、交通ルールを守っていくことが大切です。